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📊 Event Report

【株式会社amoibe】「仮想OJT」とAIメンターでエンジニア不足を解決。SI産業のAIシフトと内製化を推進するデジタルジョブトレーニング「amoibe OJT」

VENTURE PITCH ONLINE
2025/09/18
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AI台頭で始まるSI業界の構造改革。案件ガチャを打破し、エンジニアを眠らせない

皆さん、よろしくお願いいたします。株式会社amoibe代表取締役の新條隼人と申します。

私たちは、「SI(システムインテグレーション)産業のAIシフト」というテーマに取り組んでいる、生成AI×エデュケーションテクノロジーのスタートアップです。

現在、日本のSI産業は極めて大きな市場規模を誇る一方で、多重下請けや客先常駐など、日本独自の複雑な業界構造を維持しています。しかし、Cursor(カーソル)やDevin(デビン)に代表されるようなAI駆動開発ツールの台頭によって、今まさに破壊的な構造改革が起ころうとしています。

最も顕著に現れているのが、現場のエンジニア不足の「二極化」です。AIを使いこなせる高度なエンジニアが圧倒的に不足する一方で、従来型のコーディングしかできない開発者が余り始めるという構造的なミスマッチが起きています。

さらにSI業界の構造上、新しい技術を持ったエンジニアを「現場の実業務を通じて育てる」ことが非常に難しいという致命的な課題があります。業界内ではよく「案件ガチャ」という言葉が使われますが、アサインされたプロジェクトがたまたまレガシー(古い)技術を使用するものだった場合、エンジニア自身の優秀さとは関係なく、最新のクラウド技術やモダンなフレームワークに触れる機会すら得られないという、構造的な不条理が存在していました。

そこで私たちが開発したのが、企業のOJT(職場内訓練)をデジタルで完全に代替する「仮想環境OJTプラットフォーム」である「amoibe OJT」です。OJTは、第1次世界大戦の時代からそのやり方がほとんど変わっていない古い仕組みですが、私たちはこれをAI時代に合わせて全く新しい育成手法へと再定義しました。

先輩社員の稼働はゼロ。仮想プロジェクトでタスクをさばき、AIがQCD・技術を個別レビュー

「amoibe OJT」では、受講するエンジニアに対して、クラウド上の仮想環境に構築された模擬の「開発プロジェクト」を提供します。

例えば、「在庫管理システムの開発プロジェクト」にジョインしていただき、次々に降ってくるタスクやチケット(進捗管理課題)を実際のソースコードを書きながらさばいていただきます。

このシステムにおいて、従来の上司や先輩社員の代わりに伴走するのが「AIメンター」です。AIメンターは単なるチャットボットではなく、まるで本物のチームリーダーのように振る舞います。受講者に対して「ほうれんそう(報告・連絡・相談)」を求め、提出されたコードに対して「QCD(品質・コスト・納期)」の観点からのチェック、ハードスキル(技術的正確性)、さらには論理的思考やコミュニケーションなどのソフトスキルの観点から、個別かつ超具体的にフィードバック(レビュー)を行います。

従来のeラーニングや一般的なプログラミングスクールのような講義型・課題クリア型の学習とは異なり、実務に極めて近い「実践環境」でエンジニアを鍛え上げます。しかも、最も手がかかる指導やコードレビューのプロセスにおいて、自社の優秀なシニアエンジニアや上司の稼働(時間コスト)を「一切消費しない」ことが最大の強みです。

多くのエンジニアを抱える企業では、育成データが蓄積されればされるほど、AIメンターが「より優秀で指導力のある先輩社員」へと自己学習して成長していくポジティブループが回るように設計されています。

すでに多くの企業様で劇的な成果が出ています。大手ITエンジニア派遣会社様での導入事例では、実務未経験や浅い経験で採用したものの、スキル不足でアサイン先が見つからず、会社にとって赤字(待機状態)になっていたエンジニアたちに15営業日受講していただきました。その結果、わずか半月で即戦力化し、月末には全員が現場案件にアサインされ、一気に黒字転換を達成させました。投資対効果(ROI)が目に見えて明確に測れることが、私たちのプロダクトの大きな強みです。

月次150%成長とNRR400%超。育成から高度データベース構築、そしてSI本丸への参入

私たちのビジネスモデルは、受講者1名あたり30万円からの「従量課金制」というシンプルな設計です。

大手SIer様の名古屋拠点での事例では、最初は3名のお試しPoC(実証実験)からスタートしたのですが、エンジニアが見違えるように育ったことを受けて、翌年には全国展開へと拡大。45名が受講し、他の開発コースと合わせて年間1,500万円を超える大型アカウントへと成長しました。

この高い費用対効果により、月次150%以上のペースで売上が急成長しています。特に注目すべきは「リピート契約」の多さであり、既存顧客の売上維持拡大を示す指標である「NRR(売上継続率)」は「400%」を超えています。これは、今年1億円の売上を確立すれば、新規営業を一切しなくても既存顧客のリピートとアップセルだけで来年には4億円の売上が積み上がるという、驚異的な収益構造を意味します。

今後のロードマップとしては、この育成事業を個人向け(コンシューマー)にも開放し、AI駆動開発ツール(CursorやDevinなど)を完璧に使いこなす「AIネイティブな高度エンジニアデータベース」を自社で構築します。いわば、価値の低い「水」を仕入れて、自社で精製して価値の高い「石油(高度人材)」にして送り出すプラットフォームです。

そして私たちの最終的な目標は、単なる「研修会社」で終わることではありません。この強力な「高速育成装置」と「高度人材データベース」を最大の武器として、amoibe自身がSI(システム開発)市場そのものへと直接参入します。

現在の日本のSI業界は、自社に内製開発の機能を持たない大企業のニーズに合わせて、人月単価の多重下請け構造で成り立っています。しかし、AIによって「作ること」自体がコモディティ化するこれからの時代、大企業は必然的にシステムの「内製化」へとシフトします。私たちは、開発の外注枠を他社と奪い合うのではなく、日本企業の内製化シフトそのものを、人材データベースと育成プラットフォームの提供によって支援する、SI産業の新たなインフラとなることを目指します。

2030年には売上100億円という目標を設定しています。私は2014年、24歳でスタートアップを起業し、事業売却も経験してきましたが、決して大成功とは言えず、社会にインパクトを残せなかったことへの強い自問自答を続けてきました。「自らが本気で変わり、社会の変革を支援する」という強いパッションのもと、業界の専門家チームと共にこの事業を牽引しています。SI業界のAIシフトを共に強力に進めてくださる皆様、ぜひアライアンスやお力添えをお願いいたします。ありがとうございました。

質疑応答・フィードバック

コメンテーター(伊藤氏):新條さん、熱のこもった素晴らしいプレゼンテーションをありがとうございました。私自身、過去にSIerの経営を行っていた経験がありますので、日本のSI業界の多重下請け構造や「客先常駐の人月モデル」の根深さ、そしてOJTを現場で回すことのコスト負担については痛いほど理解できます。

質問ですが、今後のAIシフトによって、従来の「人月単価・人海戦術」のSIerはどのように変化し、その中でamoibeは具体的にどのように市場へ切り込んでいこうとされているのでしょうか。ウォーターフォールからアジャイルへの移行といったトレンドも含めて教えてください。

新條氏:ご質問ありがとうございます。

業界を深く知る伊藤さんならではのご質問で、大変光栄です。

私たちは、AIが明日すぐにすべての既存SIerを駆逐するような過激なシナリオは考えていません。今後の市場は大きく3つのグラデーションに分かれると考えています。

1つは、古いメインフレームやコボルを使用しているレガシーシステムなどの領域です。ここにはそもそも生成AIを載せること自体が難しいため、従来通りの多重下請け・客先常駐の人月モデルが今後も一定の比率で残るでしょう。

もう1つは、大企業のDX部門などが完全に「ベンダー脱却(内製化)」に舵を切り、AI駆動開発ツールを使いこなす自社エンジニアだけでアジャイル開発を完結させる最先端の領域です。ここでは外注ベンダーは不要になります。

そして最も大きな市場が、その中間にある「外注は続けるが、中身をAIプロセスへ刷新せざるを得ないグラデーション領域」です。AIエージェントによる開発が進めば、生産性が5倍、10倍に跳ね上がるため、従来のような「人月(何人月かけたか)」で発注単価を決めるビジネスモデルは崩壊します。

私たちは、この変化に対応するために、発注元の企業様には「内製化を支援するためのOJTプラットフォーム」を、そして受注側のIT企業様には「AI時代に適合するための高速リスキリングシステム」を双方に提供します。単なる受託開発の競合となるのではなく、SI業界全体の「AIシフトのインフラ」として機能するポジションを確立していくことが、私たちの明確な戦略です。

伊藤氏:なるほど。人月モデルが崩壊した後の「生産性重視の開発プロセス」への移行を、両サイドのリスキリングという形で支援し、インフラとして君臨するわけですね。非常に合理的な戦略だと思います。

もう一点、この「仮想環境でのOJTをAIで回す」というモデルは、SIerやIT業界だけでなく、実はさまざまな業界や職種にホリゾンタル(水平)に展開できる非常に強力な教育フレームワークではないかと感じました。

例えば、在宅勤務(テレワーク)が増えたことで、商社や一般企業でも「若手社員のOJTが機能せず、人が育たない」という悲鳴をよく聞きます。また、海外ではもともとOJTの概念が日本ほど整備されていないため、パッケージ化されたOJTトレーニングへの需要は大きいと思います。この横展開の可能性についてはどのようにお考えですか。

新條氏:その点は、まさに私たちのビジネスの可能性を大きく広げる重要なアプローチです。

おっしゃる通り、私たちのシステムは本質的には「仮想空間でしか再現できない高度な職務トレーニング(デジタル・ジョブトレーニング)」です。例えば、医師が手術の前にVR空間で血管バイパスの手術シミュレーションを行うことや、宇宙飛行士がシミュレーターで月面探査機の操作訓練を行うことと同じ本質を持っています。

この「業務プロセスのシミュレーションとAIによるリアルタイムフィードバック」の仕組みは、営業職のロールプレイングや、カスタマーサポートの対応訓練、さらには商社の貿易実務など、他の職種にも極めて親和性高く横展開することが可能です。

現時点におきましては、IT・SI業界のエンジニア不足とAIシフトという「垂直方向(バーティカル)」の市場ペインとビジネス機会があまりにも大きいため、まずはエンジニア領域に経営資源を集中してトップシェアを狙っています。しかし、そこで「デジタルOJT」の商標と仕組みを確立した後は、他職種やグローバルへの横展開も非常に現実的なロードマップとして視野に入れています。

伊藤氏:エンジニア領域の深いペインでまずは圧倒的な垂直のポジションを築き、そこから横へ展開していく。起業家としての優先順位の付け方も含めて、非常に期待が持てる事業だと確信しました。日本のデジタル技術力の底上げのためにも、ぜひ成功させてください。ありがとうございました。

新條氏:ありがとうございます。