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📊 Event Report

ART-TRA株式会社:検索不要で直感的な情報探索を実現する特許技術「ナレッジマッピング」とカード型UIの可能性

VENTURE PITCH ONLINE
2026/01/29
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「適切な問い」を作れないと、知らないことにはたどり着けない

皆さん、こんにちは。ART-TRA株式会社代表の水野 玲央と申します。本日はよろしくお願いいたします。

私たちは、「Create New Era with Technology & Art(テクノロジーとアートで新しい時代を創る)」というミッションを掲げ、情報のタッチポイント(接点)そのものを再構築する事業に取り組んでいます。具体的には、ユーザーが「検索や要約」をしなくても、新しい情報や知識に直感的に出会える「発見の仕組み」提供しています。

現在、Google検索やChatGPTをはじめとする生成AIが普及し、知りたい情報を即座に要約・検索できるのが当たり前になりました。しかし、これら従来の検索システムには、気が付きにくいものの非常に大きな課題があります。それは「適切な『問い(検索クエリ)』を入力しないと、適切な答えが返ってこない」という点です。つまり、ユーザー自身に一定の知識や自覚がない限り、自分が「知らないこと」を調べるのは極めて困難なのです。私たちは、答えを返すことよりも、この「問いを作るステップ」こそがユーザーにとって最大のハードルになっていると考えています。

また、現在の企業のホームページの多くは「ツリー構造(階層型)」で設計されています。これは制作側にとっては整理しやすい構造ですが、ユーザーにとっては「探求」を阻害する原因になっています。例えば、採用サイトを訪れた学生が、職種の具体的なイメージを掴みたいと思ったとします。その場合、用意された「社員紹介」ページをぐるぐる回るよりも、過去のプレスリリースや受賞履歴などの異なる階層にある情報を見た方が、リアルなイメージが湧くことがあります。しかし現在の分断されたツリー構造では、別階層の有益な情報へユーザーがスムーズに回回遊できません。

購買行動においても同様で、多くの人は自分が求めているものを「実際に目で見て触れてみる」まで、自分の潜在的な欲求に自覚がありません。これに対して現在ネット上で行われているアプローチは、「20代男性」といった大雑把な属性ペルソナに基づいたものか、過去の検索履歴に偏ったレコメンドだけです。そのため私たちは、かつての「本屋さんで平積みの本を眺めながら、偶然面白い本に出会う」ような、余白のある情報探索の仕組みをインターネット上で再現しようとしています。

情報資産をグラフで結び直す「ナレッジマッピング」とカード型UI

私たちが提供するソリューションは、主に3つの機能で構成されています。

1つ目は、企業が過去に作成したブログやニュースなどの「情報資産」を、AIを用いて関係性グラフとして結び直す特許技術「ナレッジマッピング」です。

2つ目は、ユーザーが次に見たいと感じる関連情報を、自然かつ意外性を持って発生させる独自のアルゴリズムです。

3つ目は、検索することなく、直感的にカードをめくるように情報を探索できる「カード型UI」です。こちらも弊社独自の特許技術として保有しています。

この仕組みの導入によって、企業のWebマーケティングは大きく変化します。従来のSEO(検索エンジン最適化)や記事作成は、ユーザーを呼び込むために「常に新しい情報を出し続けなければならない」という単発のフロー型施策でした。しかし私たちの仕組みでは、例えば「4年前に始めた事業が今どうなったか」という過去の記事と現在の記事を層として繋ぐことができます。これにより、企業の歴史や事業の文脈といった「物語」をユーザーに効果的に伝えることが可能になり、過去に作成した大量の記事資産が再び価値を生み出すようになります。

PoCの進捗とB2BからB2Cへの拡大戦略

私たちは知財(特許)と独自のアルゴリズムを強みとして、今年の1月から営業をスタートしました。すでにPoC(概念実証)として1社の導入が決定しており、数社と具体的な検討を進めています。

導入ステップは非常にシンプルで、API型とパッケージ型の2つを用意しています。API型でしたら、企業の既存Webサイトの一部にコードを数行書き込むだけで、AIが自動的に全ページを解析して関係性グラフを構築し、関連カードを表示させることができます。

PoC段階の料金モデルは、初期解析費用として「1ページあたり100円」+「月額利用料」という形で提示し、検証を進めています。

今後の成長プランとしては、まずは最も効果が見えやすい「企業の採用(リクルート)ページ」からスタートし、その後企業ホームページ全般、サービス紹介ページへと広げていきます。そして最終的には、EC(電子商取引)サイトやデジタル広告配信の領域へ進出する計画です。ECや広告にこの直感的な探索UIが組み込まれれば、市場規模は一気に拡大します。

私たちがB2Bのマネタイズから始めているのは、事業の収益基盤を早期に安定させるためであり、最終的に目指しているのはB2C(一般ユーザー向け)の領域です。位置情報と連動して、今いる場所に関連するアートやカルチャーの情報を直感的に引き出すようなサービスも構想しています。

私はもともと、美術品のオークション会社で事業責任者をしていました。そこでは、素晴らしいクオリティであるにもかかわらず、知名度がないために売れない美術品(アート)を数多く見てきました。現代のGoogleや生成AIのアルゴリズムは、人気のある「中央(マジョリティ)」へ情報がどんどん収束していく仕組みです。しかし、これでは光の当たらない多様な情報や文化が埋もれてしまい、豊かな多様性が失われてしまいます。私たちは、この「端にある光の当たらない情報」に光を当て、チャンスを提供することで、次世代に豊かな文化を残したいという強い思いでこの事業を推進しています。本日はディスカッションや共同で取り組めるパートナーの皆様とお会いできることを楽しみにしております。ありがとうございました。

質疑応答・フィードバック

中澤氏(コメンテーター):ありがとうございました。タイパ(タイムパフォーマンス)を重視するAIツールが増える中で、ユーザーがいかに豊かに迷えるかという「知的な探索体験」を提供するというのは非常に興味深いアプローチですね。検索(Search)と探索(Discovery)は本来全く異なるプロセスであるべきだと、お話を聞いていて強く思いました。質問なのですが、関連情報を幅広く提示する場合、ユーザーにとって不要なノイズが混ざるリスクがあると思います。この関連度グラフの出し方やロジックにおいて、特にこだわっている点や、絶妙な「距離感」の情報を提示するための工夫について教えてください。

水野氏:ご質問ありがとうございます。情報の重み付けとユーザー体験(UI)のバランスには非常にこだわっています。具体的には、カード型UIの画面上部に表示される「トップ4」のカードには、関連度が極めて高い「ユーザーが納得しやすい情報」やコンバージョンに近い情報を意図して配置します。そして、その下に行くにつれて、あえて「関連度の距離が少し離れた意外性のある情報(ノイズ)」をランダムに配置するように設計しています。最初から突飛な情報を出すとユーザーは離脱してしまいますが、納得感のある情報のすぐ隣に意外なカードが並ぶことで、「あ、こんな情報もあるんだ」という自発的な探求意欲を刺激できます。

中澤氏:情報の確度に応じたグラデーションをUI上で表現されているわけですね。

水野氏:その通りです。また、データの「鮮度」に応じたアルゴリズムも取り入れています。例えば、昨日のスポーツの試合結果は、今日になれば急激に価値が低下します。このような情報に対しては、時間の経過とともに関連度を減少させる「冷却率」という概念のロジックを組み込んでいます。これら独自のアルゴリズムと特許技術の組み合わせにより、単なる情報の羅列ではなく、ユーザーが心地よく迷いながら価値ある情報に出会える仕組みを作っています。

中澤氏:なるほど。中長期的なEC展開なども含めて、ユーザーの購買意欲や企業への信頼度を高める「余白」を生み出す仕組みとして非常に可能性を感じます。今後の展開を期待しています。

水野氏:ありがとうございます。情報の透明性と多様性を守り、あらゆる有益な情報に光が当たるインターネットの新しい体験を形にしてまいります。ありがとうございました。