← VPO Blog に戻る
📊 Event Report

【エーテンラボ株式会社】5人1組の「ピアサポート」で楽しく行動変容!日本最大級の禁煙・生活習慣病対策アプリ「ミンチャレ」で保険事業DXを牽引する

VENTURE PITCH ONLINE
2025/08/21
Cover

5人1組で励まし合い習慣化。アクティブ率27.5%を誇るスマホアプリ「ミンチャレ」の実績

皆さん、よろしくお願いいたします。エーテンラボ株式会社代表取締役の長坂剛と申します。

私たちは、「テクノロジーでみんなを幸せにする」というミッションの下、誰もが楽しく行動変容できる世界を作ることを目指すヘルスケアスタートアップです。「デジタルピアサポート」と呼ばれる、同じ目標を持つ仲間同士が支え合う仕組みを用いて、何かが始められない、続けられないという人たちを楽しく習慣化させ、世界中の医療・ヘルスケアの課題を解決しています。

私たちのコア事業は、行動変容に特化した習慣化アプリ「ミンチャレ」です。これは5人一組でチームを作り、お互いに励まし合いながら楽しく習慣化を目指すサービスで、現在コンシューマー向けには160万ダウンロードを突破しています。

世の中に多くのヘルスケアアプリが存在する中で、ミンチャレの最大の強みは「圧倒的なアクティブ率の高さ」です。一般的なヘルスケアアプリと比べて、起動頻度が極めて高いのが特徴です。具体的には、月間アクティブユーザー(MAU)のうち、30日中26日以上アプリを起動するヘルスケアへのコミット度が高いユーザーの割合が27.5%に達しています。毎日起動するユーザーの分母が大きいため、ユーザーに対して高い介入効果を発揮し、確実な健康増進結果へと繋げることが可能です。

現在、この行動変容エンジンを強みに、私たちの事業はB2B(健康保険組合などの保険者向けビジネス)およびB2G(自治体向け介護・フレイル予防事業)の領域で急速に成長しています。特に健康保険組合向けには、禁煙プログラムや糖尿病などの生活習慣病の重症化予防を支援する保険事業を展開しており、これが現在の売上のメインドライバーとなっています。

健康保険組合の10兆円課題に挑む。医療機器レベルのエビデンスと他社半額の圧倒的コスト優位性

日本の医療を取り巻くトレンドとして、高齢化に伴う医療費の増大は極めて深刻です。地方自治体のリソース不足から医療DXの推進や「治療から予防へ」のシフトが急務とされる中、最も大きな課題を抱えているのが健康保険組合(健保)です。

全国の健保は年間で約10兆円もの支出を抱えており、これ以上の支出拡大を抑えるために、年間約5,000億円という膨大な予算を被保険者の健康増進・予防事業(保健事業)に投じています。しかし、糖尿病などの生活習慣病は初期段階で自覚症状がないため、行動を変えてもらうのが非常に困難でした。また、従来の保健指導は医療職による対面の面談に頼っていたため、対象となる人数に限界があり、通院治療中の患者であっても約半数が数値コントロール不全で症状を悪化させてしまうという大きな課題がありました。

私たちの保険事業のコンセプトは、アプリによる「高い参加率」と「継続率」によって、確実な行動変容効果を生み出すことにあります。これまでの健保の課題だった「案内してもプログラムに人が集まらない」「効果が薄い」という2大問題を同時に解決します。

他社サービスに対する差別化戦略は主に3点あります。
第1に、10年間のプロダクトアップデートを経て培った圧倒的な行動変容効果です。すでにアカデミアの先生方と多数の共同研究を行っており、糖尿病や禁煙、介護予防などの分野でインパクトファクター6以上の学術論文が公開されています。医療機器と同等、あるいはそれ以上の医学的エビデンスを実証しています。
第2に、参加ハードルの低さです。従来のプログラムでは保健師などの医療従事者との対面面談や日程調整が必要で、ユーザーにとって心理的ハードルが高かったのに対し、ミンチャレはスマホとオンラインだけで簡単に完結します。
第3に、医療従事者の個別面談を排したことで実現した圧倒的な価格競争力です。従来の競合サービスの約半額という低価格で提供可能なため、健保の予算を圧迫せずに大規模に導入できます。

成功報酬型の「成果連動ビジネス」。禁煙から糖尿病・高血圧・メンタルヘルスへ広がる適応領域

この優れたパッケージを武器に、現在大きくPMF(プロダクトマーケットフィット)を達成しているのが「ミンチャレ禁煙」プログラムです。これは禁煙補助薬(お薬)とミンチャレアプリを組み合わせた3ヶ月間の禁煙プログラムです。

単にアプリを提供するだけでなく、健保向けにチラシやポスター、ウェブページ、動画、メール文面などの「参加者集めの伴走支援ツール」も一括して提供しています。これにより、他社の禁煙ソリューションと比べて2倍から10倍の参加者を集めることに成功しており、今年度は約6,000名が参加するなど計画を大幅に上回る受注を獲得しています。また、禁煙成功率についても、通常の禁煙外来(病院)に通うよりも高い成功実績を叩き出しています。

ビジネスモデルには成果連動型を採用しています。プログラム参加者1名が禁煙に成功するごとに健保から3万3,000円をいただき、失敗した場合は2万3,000円のみをいただくという設計になっており、そのうち1万円分が成果報酬(成果連動分)です。私たちはあえて医療機器(SaMD)ではなくヘルスケアサービスとして展開しているため、広告等で直接的な薬効・効能の表現はできませんが、この「成果連動型」のビジネスモデルそのものが、効果に対する私たちの自信の表れであり、クライアントである健保からの信頼獲得に直結しています。

今後は、禁煙で培ったPMFの勝ちパターンをベースに、健康保険組合の被保険者の約4割が予備軍または患者であるとされる「糖尿病」「高血圧」「脂質異常症」といった生活習慣病の重症化予防領域への本格的な拡張を開始します。

さらに中長期的には、睡眠などのメンタルヘルス領域、妊婦や復帰ママ向けのケア、あるいは運動療法が有効とされるがん患者の支援へと適応範囲を順次拡大していきます。デジタルピアサポートという私たちの強力な行動変容エンジンを拡張し、誰もが誰かを支え合う持続可能なウェルビーイング社会の実現に向けてマイ進してまいります。

質疑応答・フィードバック

コメンテーター(古子氏):長坂さん、素晴らしいプレゼンテーションをありがとうございました。生活習慣病をはじめ、人がこれまでの習慣を変えるというのは最もハードルが高い部分ですが、そこに対してゲームフィケーションやピアサポートの要素を取り入れたアプリでアプローチし、確かな効果を出されているのは非常に意義深いと感じました。

まず収益の基盤についてお伺いしたいのですが、現在伸びているB2B事業の主な取引先は健康保険組合や、健康経営に取り組む企業という理解でよろしいでしょうか。また、将来的には生命保険会社などもターゲットに入ってくるのでしょうか。

長坂氏:ご質問ありがとうございます。取引先につきましては、まさにおっしゃる通りで、健康保険組合および一部で健康経営を推進する企業様にご導入いただいております。

生命保険会社様との協業に関しましても、すでに現在進行形で取り組んでおります。大手生命保険会社様と提携し、その契約者様や健康増進型保険の加入者向けにミンチャレの仕組みを共同で提供するなどのプロジェクトを進めております。今後も非常に重要なターゲット・パートナーになると考えています。

古子氏:ありがとうございます。健保にとっても成果連動型であればリスクが少なく導入しやすい非常に良いモデルですね。

ただ、ふと思ったのですが、このモデルはユーザーが健康になって課題が解決されればされるほど、例えば喫煙者が全員禁煙に成功してしまえば、その後のマネタイズポイントがなくなってしまうのではないかという懸念もあります。中長期的に収益ポイントやマネタイズの幅をどのように増やしていく計画でしょうか。

長坂氏:非常に重要なご指摘です。確かに、喫煙者がゼロになれば禁煙事業の市場は消失します。そのため、私たちはまず禁煙で健保との強力なネットワーク(アカウント)を開拓し、そこに重ねる形で「糖尿病」や「高血圧」といった、より市場規模の大きい生活習慣病プログラムの展開を始めています。被保険者の約4割が生活習慣病の課題を抱えているため、当面は巨大な市場が存在します。

さらにその先、もし全員が生活習慣病を克服して重症化予防が不要になったとすれば、私たちはより手前のフェーズである「メタボ予防」や「特定保健指導」、さらには「ダイエット」「運動習慣化」といった、より幅広い予防・健康増進領域へとビジネスの軸足を下ろしていく計画です。

加えて、メンタルヘルスや睡眠、復職ママ支援、がん患者の運動療法など、特定の健康課題に特化したバーティカルな行動変容プログラムを順次立ち上げ、適応領域を横へと広げていくことで、持続的かつ多角的なマネタイズを構築してまいります。

古子氏:なるほど。課題解決とともに、別の大きな健康課題へと適応領域を広げ、予防の川上へとシフトしていくわけですね。

将来的には、ヘルスケアデータや健康診断データなどの「バーティカルデータ」の蓄積・連携が進めば、保険会社の保険料算出のための料率データとして価値を持ったり、健康意識の高いユーザー層に向けて広告を打ちたい健康関連企業の広告媒体化など、さらなるマネタイズの広がりも期待できそうです。今後のインフラ化に向けて応援しております。ありがとうございました。

長坂氏:貴重なフィードバックをありがとうございます。皆様の健康を支えるインフラとなれるよう、今後もプロダクトの磨き込みと市場拡大に努めてまいります。