cynaps株式会社の岩屋雄介と申します。弊社は、ビルの換気空調のエネルギー効率を劇的に改善するスマートビルディングソリューション「BAクラウド(BA Cloud)」を展開しております。
私たちは多くのビルや施設で、料理をしていない厨房、平日昼間の無人のロビーといった「換気が不要な状況」でも、換気ファンが最大出力で稼働し続けている無駄な光景を目にしてきました。業務用換気装置は大量のエネルギーを消費するため、ビルによってはこれが何十台も設置されており、莫大なエネルギーの垂れ流しにつながっています。
この換気には3つの大きな無駄が潜んでいます。
1. 外気を室内に取り込むための動力エネルギー
2. 外気の温度を室内の設定温度に調整するための空調熱エネルギー
3. 取り込んだ外気を外部に排気するための動力エネルギー
一部の超大型新築ビルでは大規模な管理システムを組んで制御していますが、コストや手間の面から一般のビルには普及していません。その理由は、一社単独ではプロジェクトを進められない構造的障壁と、既存ビルの大掛かりな改修工事に踏み切る余裕がオーナー側にないという点にあります。
この課題を解決するため、弊社は「BAクラウド」を開発しました。
BAクラウドは、先進的なIoTセンサーとIoTパワーユニットで構成された、ワイヤレスかつサーバーレスの省エネ自動制御システムです。従来のシステムとは異なり、既存のセントラル空調に対して大掛かりな配線工事や中央サーバーの設置を必要とせず、完全後付けで極めて容易に導入できるのが最大の特徴です。
これにより、広面積で稼働時間が長く、換気負荷の大きい大型ホテルやショッピングセンターなどで高い効果を発揮します。実際に、現在運用されている国内の超高層ホテルでの試算例では、年間で5,900万円もの光熱費削減を達成し、CO2排出量に換算すると一般家庭約370世帯分の削減に相当する高い環境価値を生み出しています。
ビジネスモデルは、初期費用を抑えた「初期費用プラン」と、削減された光熱費からお支払いいただく「成果報酬プラン」の2つの形態で提供しており、ビルオーナーの財務状況に合わせた柔軟な提案が可能です。これまでに累計33社への導入実績があり、特に近年はホテルや商業施設に注力して事業を推進しています。
このBAクラウドによる換気空調の光熱費削減インパクトは、国内だけで1兆円、グローバルでは実に22兆円規模に上ると推計しています。弊社は、建築・パワーエレクトロニクス・IoTのスペシャリストが集結したドリームチームで事業を進めております。今後は、大型建物の個別改善から、中小ビルを含めた地域・都市全体のスマートエネルギーインフラへの進化、さらにはAIやデータ、カーボンクレジットを活用した地球規模での価値創造を目指しています。現在、事業連携、販売パートナー、および社会実装フィールドを提供いただける提携企業様を募集しております。
コメンテーター(伊藤氏):プレゼンありがとうございました。非常に時流に乗っているテーマで、特にこの厳しい暑さの夏の時期には、ビルオーナーや管理会社に非常に響く提案だと感じました。現在、御社は「BAクラウド」の換気制御という領域に完全に特化して深掘りされているのでしょうか。
岩屋雄介氏:おっしゃる通りです。弊社は換気制御という領域に一本やりで特化し、それを最大の強みとして事業を展開しています。世の中にある多くのビルメンテナンスシステムは「さまざまな設備を統合コントロールできます」と謳うものが多いのですが、換気のみに特化して徹底的に無駄を削ぎ落とすプレイヤーはほとんど存在しません。しかし実際には、この換気の制御がうまくいっていないために空調全体の効率が悪化し、エネルギーを無駄遣いしている建物が数多く存在しています。
コメンテーター(伊藤氏):なるほど。一般のビル管理システム(BEMSなど)では、換気の無駄はカバーしきれていないものなのでしょうか。
岩屋雄介氏:はい、カバーできていません。基本的に従来の設備制御システムは、単に「スイッチを入れて温度を一定に保つ」といった必要最低限の管理に留まります。建物を設計・建築する段階では、コストは外装や内装、レイアウトに偏りがちで、入居後の快適性や省エネ性能は二の次になりがちです。その結果、引き渡し後に「空調の温度ムラに対するクレームが多発する」「光熱費が異常に高くなる」といった問題でビルのオーナー様が頭を抱えているケースが非常に多いのが実態です。
コメンテーター(伊藤氏):そうすると、特に築10〜20年が経過したようなエネルギー効率の悪い既存ビルにとって非常に需要がありそうですね。しかし、それぞれのビルごとに設計やエアコンの構成が異なる中で、個別にコンサルティングしながら設備投資を進めていくのは大変ではないですか。
岩屋雄介氏:そこがまさに弊社の強みです。私たちはコンサルティングと省エネ提案をセットにし、どの設備をどう制御すればコストと削減効果のバランスが最も良くなるかを、超高速で分析して提案しています。ビルの管理担当者様は設備の専門家ではありませんので、「どこから手をつけたら良いかわからない」というのが本音です。そのため、弊社側がコンサルティング業務を内製化し、スマート換気空調の導入をワンストップで支援する体制を整えています。
コメンテーター(伊藤氏):そのコンサルティングのプロセス自体も、将来的にはシステム化やAI化を進めていくイメージでしょうか。
岩屋雄介氏:はい。現在はノウハウを定量化・フロー化し、人員を用いてコンサルティングを行っていますが、将来的にはこのプロセスをAIで自動化し、データ入力から提案書作成、最適な制御パターンの抽出までを完全システム化するロードマップを描いています。
コメンテーター(伊藤氏):ありがとうございます。ピッチの後半で触れられていた「地域や都市全体のスマートエネルギーインフラ」という構想は、非常に社会的意義も高いですね。例えば地方自治体と連携したパイロットプログラムなどを立ち上げることができれば、さらに大きな社会的注目を集めるプロジェクトになると思います。
岩屋雄介氏:大量のご理解と前向きなアドバイスをいただきありがとうございます。まさにそのような社会実装を見据え、自治体や大手インフラ企業様とも連携を強めていきたいと考えております。引き続きよろしくお願いいたします。