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📊 Event Report

ENELL株式会社:空気から水を生み出し、あらゆる水を無菌化する「自律分散型マイクロ水源」で世界の水道インフラをアップデートする

VENTURE PITCH ONLINE
2025/05/15
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インフラ老朽化とPFAS汚染に立ち向かう、水供給の新常識

皆さん、はじめまして。エネルの赤石と申します。我々は世界中の水道インフラのイノベーションを目指している会社です。本日はよろしくお願いいたします。

多くの皆様が、「日本は水が豊かで恵まれているから、水で困ることはない」と思っていらっしゃるかもしれません。しかし、配管の老朽化による道路陥没などの事故がニュースになったことは記憶に新しいかと思います。実は、日本国内だけでも年間約2万件もの漏水事故が発生しているのが現状です。

さらに、全国の水道から発がん性が指摘されている有機フッ素化合物「PFAS(ピーファス)」が検出されたというニュースが連日報じられています。一部の過疎地域では給水車で水を配らざるを得ない状況にあり、北海道などでは本州と比べて水道料金が8倍近く高騰し、将来的には基本料金が1万5,000円を超えるのではないかと予測されている自治体もあります。

このような水の課題は、国内だけではなく世界中で発生しています。では、なぜこのような事態が起きるのでしょうか。原因は、現在の水道インフラが「一箇所で綺麗にした水を、長い配管を通じて運ぶ」という集中型インフラであることにあります。運ぶ途中で配管が老朽化し、壊れ、汚染されてしまうのです。

そこで我々は考えました。「浄水施設を小型・細分化し、それぞれの建物にビルトインしてしまえば、配管を通さずに安全な水をその場で手に入れられる。あらゆる水の課題が根本から解決できるのではないか」と。これが、私たちの挑戦する「自律分散型マイクロ水源」への移行です。

空気から水を作る技術と、塩素不要の革新的浄化・殺菌テクノロジー

この自律分散型の水自給を実現するためには、4つのコア技術が必要でした。

まず1つ目は、新しい水源として「空気から水を作る技術」です。空気中に存在する目に見えない水蒸気を、温度差と圧力をコントロールすることで最大効率で液体(水)に転換します。

2つ目は、集めた水や外部の水(川の水、雨水など)を、塩素などの化学薬品を一切使わずに安全な飲料水基準にまで浄化する技術です。これには世界で最も目が細かい「逆浸透膜(RO膜)」を採用していますが、排水(廃水)を出さずに100%の回収率で運用できる世界で唯一の技術を自社開発しました。これにより、PFASを100%除去することができます。

3つ目は、電気の力だけであらゆるバクテリアを死滅させる殺菌技術です。この効果は絶大で、例えば東京で最も汚いドブ川の水を1ヶ月間引き込んで運用し続けたとしても、出てくる水は塩素を使っていないにもかかわらず、国の水道水基準に適合しているというお墨付きをいただいています。細菌類も完全に検出されない無菌状態となります。

4つ目は、水が空気に触れてもバクテリアが発生しない状態で保存できる無菌保存技術です。これにより、生成後に半年間放置した水であっても菌が一切発生しないという明確なエビデンス(証拠)を獲得しています。

これらは単なる夢物語ではなく、私たちはすでにこの技術を搭載した製品を3種類、市場に投入しています。この端末をそのまま使うこともできますし、建物の設備としてビルトインすることで、「電気と水の完全な自給自足」を可能にするインフラが完成します。

ハウスメーカー共同の「レジリエンス住宅」からインドネシア巨大スマートシティまで

私たちのビジネスモデルは、小型モデルのサブスクリプション提供による認知・普及からスタートし、中長期的にはインフラそのものをアップデートしていく設計です。

現在、日本最大手のハウスメーカーとともに、住宅の中にこの水生成・循環システムをビルトインする共同開発を進めています。これが完成すれば、災害時にも水が止まらない「究極のレジリエンス住宅」として一般販売されることになります。

さらに、大手企業や自治体とのアライアンスも急速に広がっています。
営業マンがいないにもかかわらず、NTT東日本およびNTT西日本の両社が当社の販売代理店となっていただき、循環型社会の実現に向けた共同展開を行っています。

また、海外においては、三菱商事がインドネシアで進めている巨大なスマートシティプロジェクトにおいて、既存の水道インフラに接続せず、当社の技術単体でエリア内の水供給を行うプランが具体的に検討されています。
国内でも、インフラの維持が困難になった北海道の自治体で実際に導入されているほか、群馬県との共創プロジェクト、東京都の離島におけるオーバーツーリズムに伴う水不足解消プロジェクトなど、多くの行政事業に採択されています。

ありがたいことに、今年はデロイトトーマツ様が主催する、地球規模の課題を解決するスタートアップを支援するプロジェクト「Update Earth」において、2万件を超えるエントリーの中から栄えあるグランプリを受賞いたしました。これにより、私たちの事業に対する認知と信頼は急速に高まっています。

今後の計画として、私たちは2029年のIPO(株式公開)を目指しています。これまでほぼ自己資金で開発を進めてまいりましたが、さらなる急成長に向けて、シリーズAラウンドとして最大5億円の資金調達を進めていく予定です。

チームも非常に強力です。技術責任者(CTO)の田口は、もともと東芝総合研究所で半導体の設計開発の責任者を務めていた技術のエキスパートです。監査役の上田は日本郵便の元副社長、CFOの近藤はアクセンチャーでグローバル展開を主導してきた経歴を持ちます。

私たちの事業は、IT関連の事業とは異なり、ハードウェアと高度な化学・物理技術の融合であるため、参入障壁が極めて高く、ライバルが現れにくいという特徴があります。つまり、巨大な世界市場においてロングスパンで圧倒的な優位性を維持して勝負できる環境が整っています。

「水を届ける時代から、その場で生み出す時代へ」。誰もが安全な水にアクセスできる世界の実現に向けて、我々は歩みを進めてまいります。ご支援とご提携のほど、よろしくお願いいたします。ありがとうございました。

質疑応答・フィードバック

鈴木氏(コメンテーター):赤石さん、ありがとうございました。正直なところ、「本当にそんなことが可能なのか」と驚かされる技術ですね。すでにCESや多くの自治体、NTTなどの大手企業とこれほど具体的なプロジェクトが動いていることに非常に高い説得力を感じました。

空気から水を作るということですが、その水自体の成分や味、また長期保存ができる理由について詳しく教えていただけますか?

赤石氏:ご質問ありがとうございます。空気から集めた水は、逆浸透膜という非常に細かいフィルターを通すことで、不純物が全く存在しない純水(蒸留水に近い状態)になります。そこから、電気の力でバクテリアを完全に殺菌します。この殺菌技術により不純物とバクテリアがゼロになるため、水が傷まず、長期保存が可能になります。ただし、そのままだと味が無機質ですので、飲料として提供する際には日本人の好みに合わせたミネラル分を添加し、美味しいミネラルウォーターとして仕上げています。

鈴木氏:なるほど、不純物とバクテリアを完全にゼロにするからこそ長期保存ができ、そこに後からミネラルを加えて味を整えているのですね。これなら災害時の備蓄水としても非常に心強いです。

実際、この端末で1日にどれくらいの水を作ることができるのでしょうか?

赤石氏:現在展開している小型のサーバーモデルでは、空気からの結露だけで1日に最大33リットルを生成できます。また、災害時などで川の水や雨水といった外部の水を原水として使用する場合は、1日約600リットルもの水を安全な無菌飲料水に浄化することが可能です。

神奈川県や横浜市のような財政に余裕がある都市部だけでなく、インフラの維持自体が過疎化や予算不足で難しくなっている地方自治体にとって、まさに待ち望まれたソリューションだと思います。

赤石氏:おっしゃる通りです。実際に北海道などでは、将来的に従来の水道管インフラを維持することが物理的・財政的に不可能な集落が出てきています。そうした場所では、莫大な予算をかけて水道管を敷き直すのではなく、私たちの自律分散型インフラを入れて「その場で水を作り、その場で綺麗にする」ほうが遥かにコスト効率が良く、現実的です。すでにそうした自治体への導入が進んでいます。

鈴木氏:非常に現実的で切実なニーズですね。今後の販売・営業戦略についてですが、シリーズAの資金調達を進める中で、プライム上場しているような健康食品や既存の水宅配メーカーとの協業・販売ルート開拓などは考えていらっしゃいますか?

赤石氏:結論から申し上げますと、既存の宅配水ビジネスなどの水関連企業との協業は一切考えておりません。私たちのターゲットは「インフラ」そのものだからです。そのため、NTT東日本・西日本様や、大手ハウスメーカー様、三菱商事様といった、国家や都市のインフラ、生活基盤を担うレイヤーの巨大企業様とパートナーシップを組み、インフラのデファクトスタンダードとして組み込んでいく戦略をとっています。

鈴木氏:インフラのレイヤーで勝負するということですね。非常にスケールが大きい。グローバル展開において、具体的に注力しようと考えている地域はどちらになりますか?

赤石氏:最も注力するのは、経済成長が著しい一方で、水道インフラの整備が追いついていないASEAN諸国、アフリカ、南米地域です。これらの国々には既存の水道管が整備されていない地域も多いため、有線電話のインフラを飛び越えて携帯電話が一気に普及した(リープフロッグ現象)のと同様に、水道管インフラを飛び越えて私たちの自律分散型ウォーターインフラが一気に普及するポテンシャルがあります。すでに多くのアフリカ大使館などから具体的なオファーをいただいています。

鈴木氏:なるほど。インフラが未整備だからこそ、分散型がいきなり主役に躍り出るチャンスがあるわけですね。世界を見渡しても、このレベルの全自動・自律分散型インフラを技術エビデンス付きで提供できる企業は他にないと思います。ぜひグローバルで成功していただきたいです。ありがとうございました。

赤石氏:ありがとうございました。