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📊 Event Report

【株式会社JOYCLE】ゴミを「運ばず・燃やさず・その場で資源化」。物流2024年問題と自治体の焼却炉急減を解決する分散型インフラ「ジョイクルボックス」

VENTURE PITCH ONLINE
2025/10/16
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物流崩壊と焼却炉急減の危機。ゴミを移動させない新しいオンサイトインフラの必要性

皆さん、よろしくお願いいたします。株式会社JOYCLE代表取締役の小柳裕太郎です。

弊社は、ゴミを「運ばず、燃やさず、その場で資源化できる」新しい環境インフラを立ち上げているスタートアップです。

私たちがこの事業に取り組む背景には、日本全国、そして世界中の自治体や企業が直面している「ゴミ処理システムの崩壊危機」があります。

日本は世界で最もゴミ焼却炉の数が多い国です。しかし、近年の急速な人口減少に伴い、各地の焼却炉は次々と閉鎖・急減しています。その結果、ゴミを収集して焼却炉まで運ぶ輸送距離が劇的に伸び、輸送コストが急激に高騰しています。

さらに追い打ちをかけるのが、ドライバー不足問題(物流の2024年問題)です。モノを運ぶドライバーすら足りない中で、過酷な「ゴミを運ぶドライバー」はもはや採用できない状態に陥っています。実際、一部の財政破綻した自治体や、遠隔地の離島では、ゴミを運ぶことも燃やすこともできず、ただその場に埋めるしかないという深刻な事態がすでに発生しています。

この「集めて、遠くに運んで、巨大な炉で燃やす」という中央集権型のゴミ処理モデルは、すでに物理的・経済的・環境的な限界を迎えているのです。

このままでは、世界中がゴミで溢れかえってしまいます。私たちは、この巨大な課題を解決するために、ゴミを移動させずにその場で資源化し、かつ事業として「しっかり稼げる」分散型インフラ「ジョイクルボックス(JOYCLE BOX)」を開発しました。

45Lゴミ袋20袋を5時間で100分の1に。IoTと電熱分解によるオフグリッド資源化

ジョイクルボックスは、トラックで簡単に運ぶことができるサイズの小型熱分解装置です。

液体と金属を除くすべての燃えるゴミに対応しており、45リットルのゴミ袋20袋分のゴミを、わずか5時間で容積比「100分の1から100分の5」にまで劇的に減容・無菌化し、炭素や無機資源へと変換することができます。

技術的には、酸素濃度の低い炉の中で、電熱ヒーターを用いてゴミを間接加熱し熱分解する「熱分解技術」を採用しています。この技術自体は以前から存在する古典的なものですが、私たちの強みは「熱分解のブラックボックスをデジタルデータで解き明かした点」にあります。

私たちは大学と連携し、「どのようなゴミがどれくらい入ったときに、どういった制御で加熱を加えれば、最も省エネかつ高効率に資源化できるか」という独自の制御データを蓄積し、アルゴリズムの特許出願を進めています。装置に搭載された複数のIoTセンサーが稼働状況を監視し、クラウド可視化システム「ジョイクルボード(JOYCLE BOARD)」を通じて、環境負荷の低減量、削減コスト、安全パフォーマンスをすべてリアルタイムで可視化します。

さらに、燃焼ではなく電熱ヒーターで駆動するため、太陽光パネルや蓄電池と組み合わせることで、将来的には二酸化炭素を一切排出しない「完全にオフグリッドなカーボンフリー・ゴミ処理インフラ」を実現することが可能です。

熱分解後に残った無機資源は、単に廃棄するのではなく、特殊な固化剤やセメントと混ぜ合わせることで、エコタイル建材や、太陽光パネルの破片を混ぜたデザインテーブル、海の藻場を再生するためのブルーカーボンブロック、さらには美しいアート作品へと「アップサイクル(価値を高めた再製品化)」を行います。

この装置のオペレーションやアップサイクル品の製造においては、全国の障害者雇用施設(福祉作業所など)と連携するスキームを構築しており、ハンディキャップを持つ方々の新しい職域と雇用を創出するソーシャルグッドな取り組みとしても展開しています。

病院の産廃コストを3〜5割削減。東南アジアの8兆円市場へグローバル展開

私たちのビジネスモデルは、ハードウェアの販売とサブスクリプション(SaaS)を組み合わせたハイブリッド型です。

まず、装置(1機3000万円)を提携するリース会社へ一括販売します。この時点で、私たちには1台あたり1000万〜1500万円の粗利が発生します。その後、リース会社を通じてエンドユーザー様へ「装置のレンタル」「ジョイクルボードによるデータ可視化」「定期メンテナンス」をすべてセットにし、月額固定のサブスクリプションモデルでご提供します。

現在、このソリューションに対して、極めて強い「バーニングニーズ(喉から手が出るほど欲しい需要)」を持つお客様から多数のお問い合わせをいただいています。

特に強い引き合いがあるのが、100床以上の「病院」です。

病院が出す「医療性廃棄物(感染性廃棄物)」は、処理単価が極めて高く、多くの病院が年間1000万円以上の参廃処理コストを支払っています。ジョイクルボックスを導入いただくことで、装置のレンタル費用を差し引いても、全体の処理コストを「3割から5割以上」削減することが可能になります。

他にも、本土からゴミを運ぶのに膨大な船賃がかかる離島のホテル、焼却炉から遠い地方の工場、そしてドライバー不足で隣町の焼却炉までゴミを運べない自治体などが主要なターゲットです。

すでに、装置7機分(約2億円の売上相当)の購入意向書(LOI)をいただいており、商用導入が内定しています。

このオンサイト型のゴミ資源化インフラは、日本国内(病院市場だけで1600億円)に留まらず、東南アジアを中心とするグローバル市場でこそ真価を発揮します。

東南アジアは人口とゴミが爆発的に増加している世界最大の成長市場ですが、島嶼部(離島)が多く、巨大な焼却炉を建設することが困難な地域ばかりです。現状は、ゴミを何日もかけて船で運ぶか、その辺りにポイポイと不法投棄・埋め立てするしかありません。

2030年には8兆円規模に達すると言われるこの産業廃棄物処理市場において、私たちは小回りが利き、デジタルで管理された分散型インフラを提供することで、まずは東南アジアで1%以上のシェア(800億〜1000億円)を獲得するグローバルスタートアップを目指します。

12月には、太陽光パネルとジョイクルボックスをトラックのシャーシフレームに一体化させ、完全に移動しながらゴミを資源化できる可搬型ユニットの実証実験を沖縄の竹富島で実施予定です。平時は日常のゴミ削減とアップサイクルに使い、有事の際には災害廃棄物を現地で処理する「BCP(災害対策)インフラ」として、自治体や企業の強靭化に貢献してまいります。資源と喜びが循環する持続可能な社会を、皆様と共に作っていきたいと思います。ありがとうございました。

質疑応答・フィードバック

コメンテーター(福谷氏):小柳さん、プレゼンテーションをありがとうございました。ドライバー不足や焼却炉の減少という、まさに日本の地方や離島が抱える「アキレス腱」に対し、その場でゴミを100分の1に減容して資源化するというアプローチは、非常に理にかなっており、社会的インパクトの大きい事業だと感じました。

質問ですが、熱分解した後の無機資源をアートやテーブルなどに「アップサイクル」するというお話がありました。体験としては面白いと感じる一方で、導入した病院や企業がそれらを自社で商品化して販売していくというのは、実務的にかなりハードルが高いのではないかと思ったのですが、この点はいかがでしょうか。

小柳氏:ご質問ありがとうございます。

まず前提として、今回ご紹介した「アート化」などのアップサイクルは、主に私たちのコンセプトを伝えるためのPR目的(ロビイング)として制作したものです。現在、環境省も「ゴミを燃やすのではなく資源化するものについては、厳しい許認可の例外として規制を緩和していこう」という気運があり、そうしたロビイングを有利に進めるための象徴として活用しています。ですので、私たちの事業計画の数値には、このアップサイクル品の売上は一切載せていません。

その上で、実務的な回収スキームについてですが、装置を導入いただいたお客様の元で熱分解され、100分の5〜10の重さにまで激減した無機資源は、私たちが定期メンテナンスやカスタマーサポートを行うタイミングで、すべて回収・買い取りをさせていただく計画です。

ですので、導入いただいた病院様や企業様が自ら商品を販売する必要は一切ありません。お客様から見れば、処理コストが極めて高い感染性廃棄物などの「ゴミの量自体が圧倒的に減る」ため、それだけで3割から5割の劇的なコストカットという実利的なメリットを享受していただけます。

福谷氏:なるほど。回収と買い取りはJOYCLE側が引き受け、お客様はシンプルに「産廃コストの削減」というメリットだけを得られるわけですね。それであれば、病院側も導入のハードルが非常に低いですし、納得のいく設計です。

回収した資源を商品化する部分については、今後どのように展開していく予定でしょうか。

小柳氏:私たちは、全国の障害者雇用施設(福祉作業所など)と連携し、彼らに無機資源の加工やアップサイクル品の製造を委託する「ジョイクル〇〇(サポート・製造拠点)」を各地に設けていく計画です。

従来の環境装置メーカーは、機械を売り払って終わりで、その後のサポートや回収、社会的なアウトプットまでをデザインしている企業はほとんどありませんでした。私たちは、この「回収買い取り」「福祉施設との連携による製造」「デジタルデータによる効果測定」をパッケージ化することで、単なる装置メーカーではなく「循環型インフラプラットフォーム」として競合と圧倒的な差別化を図っています。

福谷氏:ただの機械売りではなく、メンテナンス、資源の回収、福祉連携による製品化までを一気通貫で仕組み化している点が、他社が真似できない強みになっているのですね。

沖縄の竹富島での可搬型ユニットの実証実験や、東南アジアへのグローバル展開も含め、今後の進展を非常に楽しみにしております。ありがとうございました。

小柳氏:ありがとうございました。