皆さん、こんにちは。株式会社Liquid Mine(リキッドマイン)代表取締役の岸本倫和と申します。本日はよろしくお願いいたします。
私たちは、「白血病患者様が受ける検査の痛みをなくし、再発を早期に発見できる社会を実現する」というビジョンのもと、血液で白血病の再発を早期にモニタリングする検査技術の社会実装に取り組んでいます。
白血病は、血液の癌として多くの方に知られています。遺伝子変異によって発症し、血液細胞のバランスが崩れることで重篤な貧血や出血を引き起こし、最終的には死に至る非常に恐ろしい病気です。国内のデータでも新規発症者は年間14,000人を超え、年間約9,000人の方が白血病で亡くなっており、その数は年々増加しています。
白血病の最大の特徴は、癌の中でも極めて再発率が高い点にあります。現状の優れた治療をもってしても再発率は約70%と報告されており、一度再発してしまうと、さらにそのうちの70%の方が亡くなってしまうというのが厳しい現実です。そのため、治療後の経過観察において、いかに早く「再発の兆候」をキャッチするかが、患者様の生死を分ける決定的な要素となります。
しかし、現在の経過観察検査には3つの大きな課題が存在します。
1つ目は、患者様ごとの原因となる遺伝子変異を正確に特定できないまま治療が行われているケースが多いこと。
2つ目は、再発のモニタリング検査が適用できる患者様が全体の約3割に限られており、残り7割の方は検査を受けたくても受けられないこと。
そして3つ目が、検査を受けられる3割の方についても、非常に強い痛みを伴う「骨髄検査(骨髄穿刺)」を繰り返し受けなければならないという点です。
骨髄検査は、腰の骨に直径約4ミリ(5円玉の穴の直径とほぼ同等)の太い針を刺し、血液が作られる工場である骨髄液をグッと注射器で吸引する検査です。この骨髄液を引っ張る際に、脳天を突き抜けるような凄まじい激痛が走ります。医師も患者様も「できれば二度とやりたくない」と口を揃えるこの痛みを伴う検査を、白血病患者様は再発監視のために何度も受け続けなければならないのです。
私たちは、東京大学医科学研究所などでの長年の研究開発を経て、骨髄検査を「痛みのない血液検査」へ完全に代替する技術を確立しました。私たちのソリューションは、主に以下の2つの技術で構成されています。
1つ目が「全ゲノム解析」によるスクリーニングです。
白血病の患者様ごとの原因遺伝子変異を正確に同定するため、まず患者様の全ゲノムを解析します。私たちは、病気とは関係のない正常な遺伝子変異をデータから選択的に排除する特許技術を保有しています。これにより、白血病の再発に直接関与する「患者様固有のターゲット遺伝子」を極めて正確に絞り込むことができます。
2つ目が「血液による再発のモニタリング検査」です。
特定した標的遺伝子変異に合わせ、オーダーメイドの個別化検査薬を自社で製造します。これにより、従来の骨髄検査を、定期的な「血液検査(採血)」へと完全に置き換えることができます。
この技術により、従来の骨髄検査ベースのモニタリングでは約3割の患者様にしか適用できなかった検査が、一気に「96%の患者様」へと適用を拡大することができます。この96%という極めて高い適用率は、血液学の世界的権威である学術誌『BLOOD』に掲載された私たちの査読済み論文のデータによって臨床的な有用性が実証されています。急性骨髄性白血病(AML)の患者様53例を検証した臨床データにおいて、血液を用いた私たちの検査が、従来の骨髄液を用いた検査と同等の高感度かつ高精度で再発を予測できることが科学的に証明されているのです。
現在、私たちの技術はすでに臨床現場から非常に大きな期待を寄せられています。私たちは、北は北海道大学から南は琉球大学に至るまで、日本全国の医療機関102施設・145名の血液内科専門医の先生方と直接面談を実施してきました。医師や患者様へのアンケートにおいても、私たちのサービスに対する否定的なご意見は1件もいただいておらず、「一刻も早く導入してほしい」「画期的なサービスだ」との声を多数いただいています。
特に、現場の医師の97%が「この血液モニタリング検査の薬事承認・保険適用(保険収載)を強く希望する」と回答しており、現在私たちは厚生労働省およびPMDA(医薬品医療機器総合機構)と薬事承認に向けた緊密な協議を重ねている段階です。
私たちの優れた技術開発と社会実装への取り組みは、AMED(日本医療研究開発機構)やNEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)といった国の主要な研究開発型スタートアップ支援金に採択されているほか、経済産業省や東京都が主催する数々のベンチャー選手権で優秀賞を受賞するなど、国や自治体からも極めて高い評価を得ています。
今回の登壇の主な目的は、特許ポートフォリオをさらに強固にするための資金獲得です。現在、アメリカやヨーロッパのドクターや医療機関からも「自分たちの患者を救うためにこの検査を導入したい」という引き合いが急増しています。これらグローバル展開を見据え、海外特許を一気に押さえるための費用として、クイックに3,000万円の資金調達(ブリッジラウンド)を目指しています。すでに2,000万円は内定しており、残り1,000万円を投資いただける投資家の皆様を探しております。
患者様から痛みを排除し、科学の力で白血病の未来を変える私たちの挑戦を、ぜひ応援してください。本日はありがとうございました。
富山氏(コメンテーター):岸本さん、素晴らしいピッチをありがとうございました。実は私の友人にも白血病を患った者がおりまして、あの骨髄検査がどれほど痛く、精神的にも患者を追い詰めるものなのかは身近に聞いて知っておりました。それが血液検査で代替できるというのは、まさに患者のQOL(生活の質)を劇的に向上させる素晴らしい医療イノベーションですね。
岸本氏:ありがとうございます。そのお言葉が私たちの開発の最大の原動力です。骨髄検査の恐怖で病院に行くこと自体が精神的苦痛になってしまう患者様を、一人でも多く救いたいと考えております。
富山氏:素晴らしい志です。ビジネス的な観点で少しお伺いしたいのですが、最近、医師資格のない民間企業が疾患リスクなどを通知する検査サービスを提供することに対して、厚生労働省や経産省が法規制を強化する動き(事務連絡など)がニュースになっています。御社の場合は、完全に医師や医療機関と連携した「医療機器・検査プログラム」としての展開になるため、こうした法的な参入障壁や規制強化は、むしろ競合を排除する追い風になるという理解でよろしいでしょうか?
岸本氏:はい、ご指摘の通りです。私たちの検査は、民間のDTC(消費者直接向け)遺伝子検査とは異なり、医師の診断や経過観察の指示に基づいて、医療機関経由で血液をお預かりし、専門医が解析・報告する高度な医療検査システムです。東大医科学研究所のバックグラウンドを持ち、薬事承認および保険適用(保険収載)を目指してPMDAともプロフェッショナルな協議を進めておりますので、規制が厳格化することは、医療エビデンスを持つ私たちのような企業にとって、むしろ参入障壁を強固にし、市場での絶対的な優位性を担保する機会になると考えております。
富山氏:なるほど、医療の王道を歩まれているからこそ、法規制の強化が防波堤になるわけですね。今後のグローバル展開について、アメリカやヨーロッパへの進出を想定されているとのことですが、進出地域の具体的な検討状況や、今回の Ask である特許費用について詳しく教えてください。
岸本氏:はい。欧米は白血病の患者数も非常に多く、また新しい分子標的薬や遺伝子解析に対する医療インフラが整っているため、私たちの全ゲノムスクリーニング技術と個別化検査薬のニーズが非常に高い市場です。すでに現地のドクターからコンタクトをいただいており、早期に現地での共同臨床研究などを進めるためにも、まずは基本特許をグローバルで押さえる必要があります。今回のシリーズAに向けたプレ調達として、残り1,000万円の枠でご一緒いただける投資家の方、あるいは欧米の医療アライアンスをご紹介いただけるパートナー様とぜひ繋がらせていただきたいと考えております。
富山氏:非常に魅力的な案件ですね。ぜひ私の知人である医療系のVCや投資家の方々、海外ネットワークをご紹介させていただきたいと思います。本日はお疲れ様でした。
岸本氏:ありがとうございます。よろしくお願いいたします。