皆さん、本日最後のピッチとなります。株式会社MamaWell代表取締役の関まりかと申します。どうぞよろしくお願いいたします。
私たちは、デジタルヘルスデータと助産師による専門ケアを組み合わせた、妊娠期からのハイブリッド型健康管理支援サービス「ママウェル(MamaWell)」を提供しています。
突然ですが、もし皆様の愛するパートナーや大切な部下が、仕事のしすぎによって切迫早産で緊急入院することになったとしたら、どうでしょうか。少しその状況を想像してみてください。それまで積み上げてきたキャリアが突如として途絶え、本人も「仕事も子どももどちらも望んだ自分自身が欲張りだったのではないか」と、自分を強く責めて精神的にも追い詰められてしまうかもしれません。このような出来事は、働く女性の人生を大きく変えてしまいます。
このような状況に対し、「医療機関で定期的に妊婦健診を受けているのだから、それで十分ではないか」と思われる企業の方もいらっしゃるかもしれません。しかし現状は、働く妊婦の3人に1人が切迫早産を経験し、5人に1人が妊娠合併症を発症しています。そしてこの割合は、高齢出産や共働きの増加を背景に、年々増加の一途をたどっています。既存のヘルスケア支援は「異常が発生して困ってから」専門家を派遣するなどの事後処置に留まっており、妊娠初期からの「予防的かつ継続的な伴走支援」が圧倒的に不足しているのが現状です。
そこで私たちは、私自身の助産師および研究者としての知見に基づき、妊婦の「適切な活動量」に着目しました。妊婦にとって、日々の動きすぎも良くないですが、逆に動かなさすぎも良くなく、個々に適した活動量の範囲(適切なゾーン)が存在します。日々の活動量をこの適切な範囲内に収めることができれば、妊娠合併症の発症率を4割から最大7割削減できることが研究データから分かっています。
ただし、この適切な活動量の範囲は妊婦さん一人ひとりの体質や妊娠週数によって異なり、個別の細かい調整が必要です。そこで「ママウェル」は、デジタルヘルスによるデータの可視化と、助産師の専門的な知見を組み合わせたアプローチで、妊婦の自律的な行動変容と健康管理を継続的にサポートしています。
具体的なサービスの流れとして、妊婦の方にはFitbitなどの汎用ウェアラブルデバイスを日常的に装着していただきます。
デバイスから取得された心拍数、睡眠時間、各強度の活動量などのデータは、APIを通じて「ママウェル」のアプリに自動同期されます。この取得されたデータを、妊婦ご本人と、その人専属の担当助産師が共有します。
助産師は「活動と休息のバランスが適切に保たれているか」「動きすぎて体に負荷がかかりすぎていないか」をデータからモニタリングし、定期的なオンライン面談やLINEでのフィードバックを通じて翌週に向けた具体的な生活プランニングを行います。
さらに、妊娠中に直面する突発的な不安や悩み事に対しても、いつでもLINEで専属助産師に相談できる体制を構築し、心理的ストレスの軽減に大きく寄与しています。
また、本サービスは妊婦本人だけでなく、パートナーである父親へのアプローチも同時に行っています。妊娠・出産・育児に関する信頼性の高い情報を父親のアカウントにも届けるとともに、父親自身がLINEで相談できる体制を提供します。これによって、夫婦で妊娠中から産後までの道のりを一緒に歩み、出産後のスムーズな「共同育児」のスタートを切れるように支援しています。
導入の効果はすでに明確に数字として現れています。「ママウェル」利用者の妊娠合併症の発症率は、全国平均と比較して極めて低い数値を維持しており、直近3ヶ月の発症者は「0名」という高い予防効果を実証しています。さらに、生産性の観点においても、利用した妊婦の仕事における生産性が14%向上したという有意なデータが得られました。妊婦さんからも「どれくらいの活動量が自分にとって適切かデータで把握できるため、仕事をどこまで頑張って、どこで休めばいいか無理なくコントロールでき、キャリアのブランクへの恐怖が和らいだ」という嬉しい声をいただいています。
この確かな成果が評価され、現在の導入企業数はすでに140社を突破しました。当社のビジネスは主に企業の福利厚生(健康経営)として導入いただいていますが、面白い特徴として、建設業やIT業など「男性社員の比率が80〜90%」を占める男性主体の企業様にも数多く導入されている点があります。導入いただいている企業の半数以上が、男性従業員の配偶者(奥様が別の企業に勤めている場合でも)をサービス対象とし、その費用を企業が全額負担するという姿勢を示されています。
これは、家族の健康が男性社員自身のエンゲージメントや労働生産性に直結するという高い費用対効果が認められているからです。企業は、医療費の削減や女性社員の中長期的な定着率向上、さらには採用競争力や「家族を大切にする企業」としてのブランディングとしても「ママウェル」を強力に活用されています。
少子化が進む日本ですが、高齢出産や共働き世帯、ハイリスク妊娠の増加、そして不妊治療ニーズの拡大に伴い、質の高いマタニティケアへの需要は世界的に高まっており、「ママウェル」がターゲットとする市場は継続して成長しています。さらに、ウェアラブルデータをベースに行動変容を促す妊婦向けの予防的パーソナライズドケアは、海外においても未だ競合がいない「ホワイトスペース(未開拓市場)」となっています。
この社会的潮流と健康経営に対する企業の意識変化を捉え、当社の売上は直近半年間で約11倍という急激な右肩上がりのグロースを達成しています。今後は、産後うつの発症リスクが最も高まる「産後3ヶ月(ピークアウト期)」までの支援に加え、その後の安心・安全な復職プロセスまでを伴走し、ブランク期間を短縮することで企業への投資対効果をさらに高める機能・プログラムの開発を進めています。
私たちの目標は、2030年までに日本の出生数の10%に「ママウェル」を届け、売上31億円を達成することです。
当社のチームは、助産師であり研究者でもある私を筆頭に、こども家庭庁の有識者検討委員を務めるメンバーや、産婦人科医師、データサイエンティスト、そして元経済産業省やメガベンチャーの経験者といった、ヘルスケアとビジネス双方のスペシャリストで構成されています。サービスを担う登録助産師は、社内の厳しい審査基準をクリアしたプロフェッショナルが現在70名以上登録しており、品質とスケールを両立できる盤石の体制を築いています。
妊娠合併症や産後うつといった深刻な課題に対し、発症してからの「治療」ではなく、発症する前の「予防」からアプローチすることこそが、根本的な解決に繋がります。「妊娠しても、安心して働き、自分らしく暮らせる社会」を創るために、健康保険組合様や企業の皆様との導入提携をさらに拡大していきたいと考えております。ぜひ、私たちの挑戦にアライアンスやご支援をよろしくお願いいたします。ありがとうございました。
コメンテーター(福田氏):関さん、素晴らしいプレゼンテーションをありがとうございました。伝え方の力が非常に強く、社会の深いペインとそれに対する予防的アプローチの価値が非常によく伝わりました。病気になってから治療するのではなく、「未病」や「予防」の段階でアプローチするというのは、これからの社会課題解決において極めて本質的だと思います。
基本的な点についての質問で恐縮ですが、妊婦の方々が手首に装着されているウェアラブルデバイスは、ママウェル専用に自社開発されたものなのでしょうか。それともApple WatchやFitbitのような市販の汎用デバイスを使用されているのですか。
関氏:ご質問ありがとうございます。デバイス自体は自社開発ではなく、Fitbit(フィットビット)などの市販されている汎用のウェアラブルデバイスを利用しています。
候補者となる妊婦の皆様が日常的に愛用されている、または手に入りやすいデバイスのAPIを利用し、歩数や睡眠時間、心拍数などのデータを「ママウェル」の専用アプリにバックグラウンドで自動同期しています。これによって、初期のデバイス開発費や導入ハードルを極限まで下げつつ、妊婦向けに最適化されたモニタリング画面と助産師用のダッシュボードを提供しています。
福田氏:なるほど。汎用のFitbit等を使用してAPIでデータを取得するわけですね。それであれば初期のハードウェア投資リスクもなく、ユーザーも使いやすくて良いですね。
もう一点、このサービスは企業の福利厚生(健康経営)として導入されているとのことですが、男性従業員の配偶者(奥様)に対しても企業負担で提供している会社が半数以上あるというのは、家族ケアとして非常に素晴らしい取り組みだと思います。
一方で、利用される妊婦の皆さんがこのサービスを「卒業(利用終了)」されるタイミングはいつ頃なのでしょうか。産後うつまでケアするとなると、出産後も使い続けると思うのですが、契約終了のきっかけや、その後のユーザーデータの活用、他のサービスへの連携(クロスセルなど)についてどのような構想を持たれていますか。
関氏:利用終了のタイミングについては、導入いただいている企業様や健康保険組合様の負担ルールによって決まりますが、多くの企業様において「産後3ヶ月まで」の利用料金を負担するスタンスを取られています。
なぜなら、産後うつの発症率のピークアウトがちょうど「産後3ヶ月目」にあたるため、最もリスクの高い期間をカバーするという合理的な設計に基づいているからです。産後3ヶ月が経過すると、母親自身も育児に慣れ始めて一定の自信がつき、生活も落ち着いてくるため、企業の公的負担の終了に伴ってサービス利用も自然に終了されるケースがほぼ大半となっています。
ご指摘いただいた「獲得したユーザーとの接点を手放すのはもったいない」という点については、まさに現在、その後の「スムーズな職場復帰(服職)」までを一貫して支援するプログラムの開発を進めています。
復職までのブランク期間中の健康管理や心理的ケアを行い、復職時期を安全に前倒し(短縮)できれば、企業にとっても非常に高い投資対効果(ROI)が実証されますし、女性社員にとってもモチベーションを維持したままキャリアを継続できるというメリットがあります。現時点では他社サービスへの送客や組込型アライアンスは行っていませんが、将来的には自社プラットフォーム上での長期的な伴走とライフステージに応じた多角的な支援を提供できるビジネス開発を視野に入れています。
福田氏:産後3ヶ月のピーク期を捉えて卒業させる明確な設計と、そこからさらに「復職支援」へ繋げることで企業のLTVを高めるロードマップですね。
少子化という逆風の市場に思えますが、女性活躍推進や男性育休義務化という時代の潮流(追い風)に乗り、半年で売上11倍というトラクションを出せているのは見事です。関さんのお人柄や志の高さ、そして登録助産師70名という人的リソースの盤石さも含めて、非常に期待が持てる事業だと思います。ぜひこれからも多くの家庭を救うために事業を拡大させてください。
関氏:温かい応援をいただき、本当にありがとうございます。ボランティアではなく、持続可能なビジネスとしてしっかりと経済性を維持し、関わっていただく助産師の方々にも正当な報酬で報いることができるインフラとして、MamaWellを必ず大きく育ててまいります。