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📊 Event Report

SkySense合同会社:高度20kmの成層圏から定点観測、低コスト・高頻度・超高解像度データを提供する自律飛行船「HAPS」

VENTURE PITCH ONLINE
2025/08/06
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スカイセンス合同会社のアドディン パヴェルと申します。弊社は、地球観測の未来を大きく変える「成層圏プラットフォーム(HAPS:High Altitude Platform Station)」の開発およびデータ提供ビジネスに取り組んでいる企業です。

衛星と航空機の弱点を克服する「成層圏データ」の需要

現在、農業、インフラ監視、災害対策、防衛など多岐にわたる分野で地球観測データが利用されていますが、既存の手法にはそれぞれ大きな課題が存在します。
宇宙から撮影する人工衛星データは広範囲をカバーできる一方で、雲に遮られやすく、撮影頻度や解像度が不足しがちです。一方で、有人航空機やドローンによるデータは極めて高解像度ですが、撮影範囲が狭く、一回あたりの飛行コストが膨大になります。

エンドユーザーが本当に求めているのは、「高い解像度」と「高い撮影頻度」を両立させた観測データを「安く」手に入れることです。
私たちは、高度約20kmの成層圏に自律運転型の飛行船(HAPS)を滞留させることで、この課題を完全に解決します。HAPSは宇宙の衛星よりはるかに地上に近いため、地表の超高解像度(数センチレベル)の撮影が可能です。さらに、地上に対して静止し続けられるため、任意の場所でのリアルタイムな「定点観測」を、極めて低コストかつ安全に実現できます。人工衛星のように打ち上げ時の爆発リスクがなく、いつでも地上に降ろしてメンテナンスや機器のアップグレードができる点も、非常に優れた柔軟性をもたらします。

JAXAの技術移転と実証実験で達成した「地表解像度8cm」のインパクト

弊社の開発するHAPSは、6ヶ月以上の連続滞留が可能な自律運転型の飛行船形式を採用しています。開発においては、かつてJAXAが取り組んでいた成層圏飛行船プロジェクトの技術移転を正式に受けており、昨年の「JAXA航空イノベーションチャレンジ」や「ICTスタートアップリーグ」などのプログラムにも採択されています。

すでにKDDIの「MUGENLABO Universe」プログラムを通じて共同PoC(概念実証)を実施しました。飛行船の実機が未完成の段階であるため、係留気球を用いて高度500mからの撮影実証を行いました。通常、有人航空機での高精度撮影でも解像度は10cm以下が限界ですが、弊社のPoCでは「地表解像度8cm」という驚異的な精度を達成しました。これにより、上空から自動車の車種の特定や、人間の動きまで鮮明に検知できることを実証しています。

この超高解像度データは、ロケット打ち上げ時に設定される立ち入り禁止警戒海域への漁船の侵入防止監視や、大手ゼネコンの建設現場監視、保険会社の被災状況把握、防衛省の周辺監視など、民間・行政の双方から非常に強い引き合いを得ています。

6機の運用による早期黒字化とロードマップ

ビジネスモデルは、自社でHAPSを製造・運用し、取得したデータをソリューション企業やエンドユーザーにサブスクリプション等で提供する「データ販売モデル」を基本とします。さらに、防衛関係などの特殊なニーズに対しては、機体そのもののレンタルや、他社製のカメラ・通信機器(ペイロード)を搭載して運用する「機体提供モデル」も想定しています。

開発は3段階のマイルストーンに分けて進めており、現在は第1ステップとして全長5mの実証機の開発を進めています。この実証機による試験飛行と、成層圏カメラの開発のため、現在シードラウンドで1.0億〜1.2億円規模の資金調達を調整しております。
将来的には、全長約30mの量産型飛行船を製造する計画です。量産機の機体製造コストは1機あたり1.2億〜1.5億円を見込んでおり、累計の開発総予算は20億〜25億円を想定しています。これは人工衛星の開発・打ち上げコストと比べると一桁以上安価です。運用する機体が6機に達した段階で、事業単体での黒字化を十分に達成できる収支モデルを構築しています。宇宙・航空業界のベテラン技術者やJAXAで巨大飛行船を設計したアドバイザーが集結したチームで、日本発の成層圏インフラを必ず実現します。

質疑応答・フィードバック

コメンテーター(伊藤氏):パヴェルさん、夢とスケールの非常に大きいプレゼンテーションをありがとうございました。日本発でこのような成層圏プラットフォームが誕生することに大変ワクワクしています。このHAPSを開発・運用するにあたって、最もハードルが高いと感じている技術的な困難さや、御社の技術的強みについて教えていただけますか。

アドディン パヴェル氏:ご質問ありがとうございます。この事業は「技術的な困難さしかない」と言っても過言ではないほど、総合的な難易度が高いプロジェクトです。成層圏で長期間滞空するためには、超軽量かつ高強度の飛行船構造、超低気温・希薄空気で動作する推進機(プロペラとモーター)、過酷な紫外線やガスに耐えるエンベロープ(外膜)の材料技術が必要です。これらは基礎研究レベルのものはありますが、製品として統合された実績はありません。そのため、弊社だけで作ろうとせず、国内の先端材料メーカーと共同開発を進めています。

コメンテーター(伊藤氏):なるほど。機体自体の開発だけでなく、上空から撮影するカメラやそれを送る通信システムなども成層圏仕様にする必要があるのですね。

アドディン パヴェル氏:その通りです。高度20kmの超低温・低気圧下で確実に動作し、地上8cmの解像度を保つためのレンズやカメラの筐体開発もカメラメーカーと共同で進める必要があります。さらに、太陽光パネルや燃料電池を用いたバッテリー駆動、自動制御での自律飛行、地上へのデータリアルタイム送信など、プラットフォーム側とデータ処理側の両方のテクノロジーを同時並行で統合開発していくのが、弊社のエンジニアリングプロジェクトとしての本質であり、強みでもあります。

コメンテーター(伊藤氏):通常のITスタートアップと異なり、ハードウェアや航空宇宙開発に近い莫大な開発資金が必要になる印象を受けました。その点での今後の資金調達のマイルストーンや累積コストの見通しについて、差し違えない範囲で教えていただけますか。

アドディン パヴェル氏:はい。確かに宇宙開発に似たステップを踏みますが、宇宙ロケットや人工衛星(数千億〜数百億円規模)と比較すると、HAPSの開発コストは一桁から二桁安価で収まります。現在、実証機の飛行試験に向けてシードラウンドで1.0億〜1.2億円の調達を進めています。その後、全長30mの量産型プロトタイプを開発し、実際に量産・市場導入するまでの累積開発コストとしては、トータルで約20億〜25億円程度を見込んでいます。

コメンテーター(伊藤氏):量産機のコストが1機あたり1.2億〜1.5億円であれば、衛星と比べて格段にリーズナブルですね。宇宙ビジネスの中では非常に資本効率が良いモデルだと感じました。ぜひ日本初の成層圏プラットフォームを成功させてください。期待しております。

アドディン パヴェル氏:ありがとうございます。技術とビジネスマイルストーンを着実にクリアし、世界をリードする成層圏データプラットフォームを提供できるよう全力で取り組んでまいります。