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📊 Event Report

【株式会社DROBE】アパレル8兆円市場の「ファッション迷子」を救う。AI×プロのスタイリングで実店舗派をオンラインへ引き込む「Selectbox」

VENTURE PITCH ONLINE
2025/10/16
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外資コンサルからファッションテックへ。服は好きだが自信がない「ファッション迷子」を救う

皆さん、よろしくお願いいたします。株式会社DROBE代表取締役の山敷守と申します。私は新卒でDeNAに入社し、その後外資系コンサルティングファームのボストン コンサルティング グループ(BCG)を経て、ファッション市場が抱える巨大な可能性と課題を解決するためにDROBEを設立いたしました。本日は、私たちが運営する、プロのスタイリストが選ぶパーソナルネットショッピングサービス「Selectbox」についてご紹介させていただきます。

まず、サービスの概要をご説明します。

Selectboxは、ユーザーがスマホから約70問のアンケートに回答するだけで、自宅にプロのスタイリストが厳選した5点から8点の商品が届き、気に入ったものだけを購入していただく仕組みのサービスです。段ボールの中には、商品の他に、スタイリストがお客さま一人ひとりのためだけに心を込めて書いた具体的な着こなし提案「スタイリングカルテ」が同梱されています。

利用料金は、1回のスタイリングにつき4,290円です。初回ご利用後は、お客さまのライフスタイルに合わせて、ご希望の頻度で定期的に自宅へお届けする計画的なご利用方法を提案しています。

私たちがこの事業を立ち上げた背景には、国内のファッション市場が抱える極めて歪な構造があります。

日本のファッション市場は、1990年代の約15兆円をピークに、現在は約8兆円へとほぼ半減してしまいました。その一方で、洋服の年間供給点数は劇的に増え続けています。市場には安価で大量の服が溢れかえっており、消費者は「何を選べばいいのか分からない」という深い選択の悩みに直面しています。

女性を対象にした調査では、全体の約8割から9割が「ファッションが好きだ」と答える一方で、実にその9割が「自分の服装に自信がない」と答え、7割が「何を着ていいか分からない『ファッション迷子』になっている」という驚くべき実態が浮き彫りになりました。

つまり、洋服は好きなのに、何を買えばいいか選べずに困っている巨大なサイレントマジョリティが存在するのです。

ここで、私たちのポジショニングを明確にしたいと思います。

世の中にはZOZOTOWN様や楽天市場様といった巨大なファッションECモールが存在しますが、実は私たちのユーザーは、これらのECモールで服を購入するような層ではありません。

日本のファッション購買層の約4分の3は、未だに実店舗(リアル店舗)で服を購入しています。なぜなら、「オンラインで服を買うとサイズが合わなくて失敗する」「実物を見ないと似合うか不安だ」と考える人が、EC購買層の9割を占めているからです。

私たちは、オンラインサービスでありながら、こうした「普段は実店舗で服を買い、ECでの失敗を恐れている層」をターゲットに設計しています。現在、すでに20万人以上のアクティブなユーザー様に登録いただき、ご利用いただいています。

300名のスタイリストの働き方DX。ダッシュボードとデータでIT企業のようにPDCAを回す

私たちの強みを支えるのが、オンラインで登録メンバーのために服を選ぶ「プロのスタイリスト」たちの存在です。現在、DROBEには延べ300名以上のスタイリストが在籍しています。彼女たちのバックグラウンドは極めて多彩で、テレビや芸能人のスタイリングを手掛ける第一線のアテンダントから、有名百貨店やアパレル店舗の店長・トップ販売員としてリアルな接客を極めてきたプロフェッショナルまでが集まっています。

私たちは、このスタイリストたちの「働き方」に劇的なイノベーションをもたらしました。

DROBEのスタイリストは、完全フルリモート・完全フレックスタイム制で稼働しています。さらに、彼女たちは従来のスタイリストのように感覚だけで仕事をするのではなく、IT企業のエンジニアやマーケターのように、詳細なデータを駆使して日々の改善(PDCA)を回しています。

具体的には、スタイリスト一人ひとりに専用のダッシュボードが提供されています。そこには、自身の個人売上だけでなく、全体の平均と比較された「サイズのぴったり率」「デザインの適合率」といった極めて細かな顧客満足度指標がリアルタイムに可視化されています。

例えば、あるスタイリストの「ボトムスのサイズぴったり率」が平均より低い場合、ダッシュボードは単にスコアを表示するだけでなく、「なぜ低いのか」を徹底的にドリルダウンします。「大きめのサイズを提案しがちなのか」「トップスは合わせられているがボトムスが苦手なのか」、あるいは「自分と異なる年代・体型のお客様への提案でミスマッチが起きているのか」までをデータとしてつまびらかにします。

スタイリストは、これらのデータをもとに他のトップスタイリストのベストプラクティス(成功事例)を参照し、次のスタイリングへ自己改善を反映させます。このデータドリブンなオペレーションこそが、私たちが誇る高品質なパーソナルスタイリングの再現性を生み出しています。

4時間から15分へ。他社商品の表記揺れをクレンジングする独自AIと「人とAIの共生」

私たちは、創業当初から「ファッションとテクノロジーの融合」を追求してきました。

当初、スタイリストがお客様一人ひとりのデータをカルテで見ながら、数万点の商品から5点を手作業で選び出すには、1顧客あたり「4時間(240分)」という膨大な時間がかかっていました。これでは労働集約的すぎてスケールできません。

そこで私たちは独自の「AIスタイリングエンジン」を開発し、導入しました。これにより、現在ではスタイリストが最終的にお届けする商品を確定させるまでの時間を、わずか「15分」へと劇的に短縮させることに成功しました。

私たちが扱う商品は、自社ブランドではなく、すべて提携しているブランド様の商品です。ユナイテッドアローズ様やオンワード樫山様をはじめ、現在200以上の国内外の主要ブランド様と提携しており、常時40万点を超える商品データがシステムに登録されています。

しかし、200社もの異なるブランドの商品データを扱うには、重大な「表記揺れ」の問題が立ちはだかります。例えば、同じ「赤」であっても、ブランドによって「赤05」であったり、独自のカラーコードで登録されていたりと、データの持ち方がバラバラなのです。

私たちは、商品の画像データとテキスト情報をAIで解析し、DROBE独自の仕様に統一する「データ正規化システム」を開発しました。商品の特徴量(襟の形、丈の長さ、素材の質感、シルエットなど)をAIが自動で高精度にタグ付けします。このAIによる自動データ処理により、人力に換算して年間「1,500時間」以上の膨大な運用工数を削減することに成功しました。

実際のスタイリングの流れは、人とAIの強みを融合させたハイブリッドモデルです。

1. まず、AIが膨大な商品データから、お客様のプロフィールや過去の購入データ、サイズ制限に基づいて、最適な「お届け候補商品」を数百点規模で自動スクリーニングします。
2. 次に、発送前にお客さまに対して「今回こちらの候補からお届けしようと思いますが、いかがですか」とウェブ上で事前に提案し、フィードバックを得ます。
3. 最後に、プロのスタイリストがそのお客様のリアクション(「これは持っている」「これは着てみたい」などの動的なフィードバック)を確認し、それらを総合的に考慮して、実際のコーディネートを組みながら最終的な5〜8点の商品を確定させます。

この「AIによる超効率的なスクリーニング」と「人間(スタイリスト)による感情の共感とコーディネート」の調和こそが、私たちの圧倒的な顧客体験と高い購入率を実現するコアテクノロジーです。

オンワード「Steppy」との返品特化ECと、インフルエンサー協業による8兆円市場の開拓

今後の私たちの成長戦略と事業連携についてご説明します。

私たちは今年7月、アパレル大手のオンワード様の新ブランド「Steppy」において、シューズの「返品特化型EC」を裏側から支える戦略的協業を発表いたしました。

一般的に、アパレルECで「返品送料無料」を謳うと、高い返品率によって物流費や検品・仕分けの作業コストが跳ね上がり、採算が合わなくなってしまいます。しかし私たちは、DROBEで培ってきた返品処理の自動化オペレーションと、AIによるサイズ推奨テクノロジーをバックエンドに実装することで、返品を前提としても十分に高利益率を維持できる革新的なECインフラを構築しました。

私たちは、単にSelectboxという個人向けサービスを運営するだけでなく、アパレル大手各社が抱える「オンライン化と返品」というアキレス腱をテクノロジーで解決する、B2B2Cのプラットフォームへと進化しています。

現在の日本のアパレル市場は8兆円、EC化されている領域だけでも1兆円以上が存在します。それに対し、私たちの現在の売上規模は十数億円レベルであり、未だに開拓すべき巨大なホワイトスペースが目の前に広がっています。

特に今後は、オンライン広告だけではアプローチできなかった「店舗(オフライン)で服を買っているリアル層」を獲得するため、全国に強固な店舗網を持つアパレル各社とのアライアンスを強化します。実店舗と私たちのオンラインパーソナルスタイリングを融合させることで、次世代のオムニチャネル体験を提供します。

さらに、新たなユーザー獲得施策として、今年からインフルエンサーと協業したセレクトECサービス「Android(アンドロイド)」を本格的に始動いたしました。SNS上で高い発信力を持つインフルエンサーたちのセンスと、当社のAIデータ基盤、スタイリストのバックエンド運用力を掛け合わせることで、これまでリーチできなかった若い世代や多様なテイストのユーザーへ急速に面を広げてまいります。

私たちは、ファッションドメインにおける世界一のテクノロジー実装企業として、すべての「ファッション迷子」の人々に自分らしい服を届けるインフラを構築してまいります。アライアンスをご検討いただけるブランド企業様、そして私たちのビジョンを共に支援してくださる投資家の皆様からのご連絡をお待ちしております。ありがとうございました。

質疑応答・フィードバック

コメンテーター(福谷氏):山敷さん、素晴らしいプレゼンテーションをありがとうございました。プロのスタイリストがお勧めの服を自宅に届けてくれて、家で試着して気に入ったものだけを買えるというのは、本当に便利で魅力的なサービスですね。私自身、休日に店舗に服を買いに行く時間を作るのが難しいので、非常に使ってみたいと感じました。

現在、登録ユーザー数が20万人を突破されているとのことですが、これは全員が定期的にSelectboxで購入されているのでしょうか。実際のアクティブユーザーの規模感や、利用の実態について教えていただけますか。

山敷氏:ご質問ありがとうございます。

20万人という数字は会員登録をいただいた累計のユーザー数となります。その中で、私たちの基幹サービスである定期配送型「Selectbox」につきましては、季節変動やプロモーションの時期によっても前後しますが、毎月約5,000名から2万人程度のお客様にアクティブに箱を発送し、ご利用いただいている規模感となります。

また、Selectboxの箱で届いた商品以外にも、気に入ったブランドの商品をオンライン上で単品でリピート購入できるEC機能も備えており、それらを含めて多くのアクティブユーザー様が日常的にDROBEを通じて服を購入されています。

福谷氏:なるほど。毎月数万人規模で箱が往復し、スタイリングが行われているのですね。

サービスを開始されたのが2020年とのことですが、約3〜4年という比較的短期間でこれだけの規模まで伸ばされた背景には、どのようなマーケティングの成功や勝ちパターンがあったのでしょうか。

山敷氏:私たちのサービスが大きく立ち上がったのは、2021年から2022年のコロナ禍のタイミングでした。

緊急事態宣言などによって日本全国の百貨店やアパレル店舗が休業し、これまで「実店舗でしか服を買わなかった層」が強制的にオンラインで服を買わざるを得ない状況になりました。その際に、私たちの「自宅で試着して失敗なく買える」という価値が、ネット通販に抵抗のあった店舗派の女性たちに強く刺さり、SNS広告経由で爆発的にユーザーを獲得することができました。コロナ禍という外部環境の変化をチャンスに変えられたことが、初期の急成長を支える追い風となりました。

しかし、8兆円のアパレル市場、1兆円のEC市場全体から見れば、私たちの十数億円という現在の事業規模はまだ始まったばかりの極めて小さな点にすぎません。ここからさらに一桁、二桁上のステージにスケールさせていくためには、既存のデジタルマーケティングだけではリーチが頭打ちになると考えており、それがアパレル大手各社とのリアルアライアンスやB2B事業を本格化させている最大の理由です。

福谷氏:実店舗派という「ネットで買わない層」をオンラインに引き上げるために、今度は店舗を持つアパレル各社と組んでオフラインの顧客に直接リーチしていくわけですね。

もう一つ、パーソナルスタイリングというサービス特性上、どれだけ優秀なスタイリストやAIが選んでも、お客様の元に服が届いた時に「やっぱり自分の好みと違った」「サイズが合わない」といったミスマッチが発生し、1点も購入されずにすべて返品されてしまうようなケースもあるかと思います。このミスマッチ率や返品率の課題についてはどのようにコントロールされていますでしょうか。

山敷氏:おっしゃる通り、1点も購入されずに全品返品されてしまうリスクは常に存在します。実際、過去に国内外で展開された同様のパーソナルスタイリング型サービスでは、全返品率が高すぎて物流・運用コストを回収できずに撤退したケースがほとんどでした。

しかし私たちは、全返品率(1点も購入されなかった割合)を約2割以下に抑え、お届けしたお客様の「約8割以上が必ず1点以上の商品を購入する」という極めて高い購入率を維持しています。

これは、スタイリストが服を選ぶ前に、AIが過去の行動データや事前のウェブ提案時のフィードバックデータを精緻に分析し、お客様が望まないデザインや合わないサイズを極限まで排除しているからです。さらに、スタイリスト自身がお客様のダッシュボードデータを見て「前回のミスマッチの原因」を学習し、PDCAを回す教育制度を確立しています。この2割の不適合率をさらに下げ、より一人ひとりに最適化されたスタイリング精度を高めていくことが、私たちのテクノロジーチームの継続的な挑戦テーマです。

福谷氏:類似サービスが全返品率8割近くで失敗する中で、逆に「購入率8割以上」を実現しているのですね。仕組み化されたAIの力と、スタイリストのデータ活用能力の高さがその数字に表れていると感じます。

インフルエンサーとのセレクトECなどの新しい取り組みも含め、8兆円の巨大な市場をテクノロジーでどうハックしていくのか、今後の展開を非常に期待しております。ありがとうございました。

山敷氏:ありがとうございます。引き続き全力で事業を推進してまいります。