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📊 Event Report

【リベリウス・テクノロジー株式会社】ベテラン役員が客室清掃をするホテルの限界を突破。暗黙知をAIで継承し現場を救う「ホテルウィー」の挑戦

VENTURE PITCH ONLINE
2025/12/04
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本社役員が現場で清掃するホテルの崩壊危機。現場を疲弊させる「3つのない」

皆さん、はじめまして。リベリウス・テクノロジー株式会社代表取締役の永光弘幸と申します。本日はホテル従業員の日々の作業を支援するAIパートナー「ホテルウィー(Hotelwee)」についてプレゼンテーションをさせていただきます。よろしくお願いいたします。

私たちは開発に先立ち、ホテル業界の多くの皆様とお話をさせていただきました。そこで直面したのは、人手不足による深刻な崩壊危機です。ある大手の電鉄系ホテルでは、現場のスタッフが足りなすぎるあまり、本社役員が毎日現場に赴き、客室の清掃作業を行っているという信じがたい状況をお伺いしました。

急増するインバウンド需要によって宿泊客からの問い合わせは2倍以上に膨れ上がっているにもかかわらず、現場ではアルバイトを教育する時間さえなく、離職率27%という全産業平均の2倍以上に達する過酷な状況が続いています。

私は、ホテルの現場を疲弊させている本質は「3つのない」にあると考えています。

1つ目は「教えられない」です。現在のホテル業界は非正規社員の比率が45%に達しており、人の入れ替わりが非常に激しいのが特徴です。しかし、ベテラン社員は日々の通常業務で手一杯なため、新しく入ったスタッフに業務の手順を教える時間が全くありません。その結果、新人はやり方がわからず、サービスの品質が低下するという悪循環に陥っています。

2つ目は「共有できない」です。例えば、レストランでのお盆の拭き方やカトラリーの並べ方など、ホテルの業務には「早く乾燥させるために交互に置く」といった、明文化されていない多くの暗黙知(ベテランの知恵)が存在します。これらがマニュアル化されておらず、指導が個々の現場任せ・属人化しているため、品質の均一化が困難になっています。

3つ目は「見えない」です。各スタッフが「今どこで・何を作業しているか」の可視化ができていません。そのため、誰がどの部屋をどの時間で終わらせたかといった頑張りが評価に繋がらず、スタッフのモチベーション低下と離職の原因になっています。

私たちは、この「3つのない」をAIによって解消し、ベテランの知恵を自動で継承・支援するソリューションを開発しました。

手書きメモや写真をAIが学習。宿泊客の困りごとに対応手順を即座に提示

私たちが提供するホテルウィーは、AIがベテラン従業員の持つ手書きのメモや写真、ノウハウを自動で学習し、暗黙知をシステム内に継承していくAIパートナーです。

これにより、未経験の新人が現場に入ったとしても、スマートフォンに届くAIの具体的な指示に従うだけで、ベテランと同等品質の作業や客室清掃を行えるようになります。

実際の使用シーンとしては、宿泊客が客室内のQRコードを読み取って「エアコンから変な音がする」などのメッセージをチャットで送信すると、それが即座に従業員のスマホに「タスク」として届きます。従業員がその場でアプリ内のAIアシスタントを起動すると、エアコンの機種や故障パターンのデータをもとに「まずはフィルターを確認する」「フロントへ連絡して部屋変更の処理をする」といった対応手順が1秒で提示されます。これまでのように、誰がやり方を知っているか探して内線で聞き回る必要は一切ありません。

また、私たちは単なる現在の作業ツールへの置き換えを目指しているわけではありません。最終的には「人が介入する余地を最小限にし、タッチポイントを極限まで減らすAI自動化エージェント」を構築します。

スタッフの作業実績ログデータが蓄積されれば、頑張ったスタッフを客観的に評価する仕組みの構築はもちろん、過去の稼働実績に基づいたホテルの需要予測や、エアコンなどの設備が故障するタイミングを事前に予測して交換を促す「予防保全」まで自動化することを目指しています。

デジタル変革25年の知見を結集。電鉄系ホテルと実証実験を推進中

私はこれまで、オムニチャネル(オンラインとオフラインの融合)をはじめとするデジタル変革(DX)一筋で25年間キャリアを築いてまいりました。かつてホテルの在庫管理システムの構築をご支援した経験もあり、ホテルのバックオフィスが20年前と何も変わっていないという課題を強く認識したことが、ホテルウィー開発の強い動機となっています。

ホテルウィーのシステムは、AWSインフラをベースとし、API連携プラットフォーム「n8n」や複数のAIエージェントを組み合わせた高度なアーキテクチャで構築されています。技術自体は確立されたものを使用していますが、私たちの最大の強みは「ホテル業界特有の用語や暗黙のプロセス」のデータアノテーション(意味付け)を独自に作り込み、対話の判定精度を最大化している点にあります。

現在、ホテルの基盤システム(PMS)は非常に複雑で、非正規スタッフが使いこなすには1週間以上の研修が必要ですが、ホテルウィーは研修不要で直感的に操作できるモバイルUXを提供し、PMSと連携することで業務を劇的に簡素化します。

現在はリリース直後のシードステージであり、西武プリンスホテル様や小田急様、京王ホテル様といった大手の電鉄系ホテルチェーンの皆様と実証実験(PoC)の具体的な交渉を進めております。また、迅速な意思決定が可能な独立系ホテルの皆様とも、積極的にPoCを開始したいと考えております。

まずは日本国内のビジネスホテル・シティホテル(約1万7000施設)へ集中的に展開し、インバウンド急増の荒波に立ち向かう現場を救うインフラへと育ててまいります。シードラウンドの資金調達を進めておりますので、志を共にしてくださる投資家、ならびにホテルの皆様からのご連絡をお待ちしております。ありがとうございました。

質疑応答・フィードバック

コメンテーター(伊藤氏):永光さん、ありがとうございました。永光さんのDXにおける25年という非常に長いご経験と、そこから導き出されたホテルの現場に対する高い解像度に感銘を受けました。

さまざまな産業でDXが叫ばれる中で、なぜ特にホテルのバックオフィスという領域に着目されたのでしょうか?

永光氏:ありがとうございます。内閣府のデータなどによると、各産業の生産性と労働力増減のデータにおいて、飲食・宿泊業界は最も出遅れており、双方の指標でマイナスを記録しています。これは建設業や郵便局よりも低い水準です。

飲食業界は最近、モバイルオーダーなどの普及で自動化が進みつつありますが、ホテル業界のバックオフィスは20年前と何も変わっていません。非正規雇用が45%を超える中で、従来の複雑なPMS(基盤システム)を教える時間がないというギャップは世界中のヒルトンやリッツ・カルトンでも共通のペインです。今ここで私たちがやらなければ誰もやらないという強い危機感からスタートしました。

伊藤氏:なるほど。非正規社員が半数を占める中で、研修なしで誰でもベテランと同じ作業ができるモバイルUXの提供は非常に理にかなっています。

ベテランの「暗黙知」をAIに継承させるというアプローチについて、これは他社が簡単に模倣できない御社独自の強み(技術障壁)はどこにありますか?

永光氏:システム基盤はAWSやn8nなどの既存のものを活用していますが、私たちの真の強みは「ホテル実務に特化したデータアノテーション(意味付け)」にあります。ホテルの現場で交わされる業界特有の指示や専門用語、そしてカトラリーやお盆の扱いといった暗黙のプロセスをAIがどう解釈し、指示として出力するかという辞書と判定アルゴリズムを自社で独自に構築しています。このデータの蓄積とチューニングこそが、他社に対する大きな優位性です。

伊藤氏:ありがとうございます。現在はリリース直後のシード期とのことですが、大手の電鉄系ホテルチェーンとPoCの意思決定を進められている点、非常に期待が持てます。まずは最初の実証実績を作ることが最優先ですね。応援しております。

永光氏:ありがとうございます。現場の変革に向けて全力で取り組んでまいります。