皆さん、はじめまして。MeeeetUp株式会社代表取締役の髙橋一矢と申します。よろしくお願いいたします。
私たちは、顔認証技術を活用してリアル空間でのユーザー行動の可視化と顧客理解を深める、いわば「オフライン版Cookie」「リアル版Cookie」を提供しているスタートアップです。
オンライン空間においては、GAFAをはじめとする巨大IT企業がブラウザのCookie(クッキー)を用い、「誰が・いつ・どこで・どのページを見て・何を購入したか」というユーザーの行動履歴を完璧に可視化し、ビジネスに役立ててきました。しかし、私たちが日々生活しているリアル(オフライン)空間においては、同様の顧客行動データを高精度に取得する手段がほとんど存在しませんでした。私たちは、顔認証と独自の暗号化ID技術を用いてこのギャップを埋め、リアル空間における顧客理解を最大化します。
従来のオフラインにおける顧客データ取得には、いくつかの高い壁がありました。
1つ目は「データ収集の難しさ(能動的アクションの壁)」です。QRコードの提示や専用アプリのダウンロード、会員登録など、ユーザー自身の能動的なアクションが必要となるため、十分な量のデータが集まりません。インセンティブ(報酬)を付与してデータを集めようとしても、集まるデータに偏り(バイアス)が生じてしまいます。
2つ目は「名寄せの困難さ」です。仮に店舗やイベントごとにデータを取得できたとしても、メールアドレスの入力ミスや名前の表記揺れによって、同一人物であると紐付けることが困難です。その結果、既存のCRM(顧客管理システム)内では同一人物であるはずの顧客データが別人として分離してしまい、正確な顧客像を捉えられません。
3つ目は「活用のタイムラグ」です。取得したデータの照合や検索工程に多くの手作業が発生するため、せっかく蓄積したデータをその場で即座に分析・活用することができません。
私たちは、これらの課題を「顔」をフックにすることで、すべて解決します。
私たちのソリューション「MeeeetUp」は、顔認証でデータを収集し、重複のない固有の「顔ID」にすべての行動データを集約・出力するアプローチをとっています。
導入は極めてシンプルです。イベントの受付やコワーキングスペース、店舗の各スポットに、カメラ付きの汎用デバイス(iPadやiPhoneなど、既にお持ちの端末で可)を設置するだけです。ユーザーはアプリのダウンロードやカードの提示といった特別な操作をする必要はありません。ただカメラの前に立つだけで、受付や来所履歴が自動的に登録されます。
そして、一度取得した顔認証情報は、重複することなく固有の「共通顔ID」に紐付けられます。これにより、日をまたいだリピート来訪の検知はもちろん、異なるフロアや店舗といった空間を跨いだユーザーの行動ログを一元管理・統合し、ダッシュボードで即座に分析・活用することが可能になります。
既存の予約システムや顧客管理データベースとも、API連携によって簡単に導入できるため、現場の運用オペレーションに負荷をかけることなく稼働させることができます。
現在、サービスリリースからわずか4ヶ月ですが、展示会や商談会などのイベントを中心に、すでに大手企業や自治体など約40社の事業者の皆様にご利用いただいており、登録ユーザー数は5000名を突破いたしました。
B2B商談会の受付や、コワーキングスペースの入退室管理、大学のオープンキャンパスでのブース巡回記録(デジタルスタンプラリー形式)、さらには自治体における災害時の避難所運営での避難者登録管理など、人が集まるあらゆる現場で活用が始まっています。
私たちの最大の競争優位性は、独自の暗号化技術を用いた「顔データの共通ID化」と、完全にソフトウェア(SaaS)に特化したポジショニングにあります。
既存の顔認証システムの多くは、入退室用の「高額な専用ハードウェア」と抱き合わせで販売されており、導入した事業者ごとにデータベースが完全に隔離されていました。そのため、ユーザーは行く先々のジムやマンション、オフィスごとに毎回顔写真を登録し直さなければならず、UX(ユーザー体験)として非常に煩雑でした。
私たちは、顔写真そのものを暗号化したIDデータに変換して処理するため、個人情報の漏洩リスクを極限まで低減しています。これにより、ユーザーは「MeeeetUpのインフラ上で一生に一度だけ顔登録」を行えば、異なる多店舗や別のイベント会場であっても、再登録なしでそのまま顔認証の利便性を享受できるようになります。
ビジネスモデルは、初期費用や専用ハードウェアの購入は一切不要で、導入自体は無料で開始できます。顧客管理やダッシュボードでの人流・興味データの分析機能を利用する場合にのみ、登録ID数に応じて1人あたり月額100円〜500円のID課金を事業主からいただくシンプルなモデルです。
まずは人が集まるイベント管理の「受付効率化・人件費削減」をフックに導入を広げ、長期的には「どのユーザーがどのブースや店舗に興味を持ったか」というオフラインの興味・関心データを可視化し、スポンサー価値や売上を向上させる「データプラットフォーム」として機能させます。
2030年までに国内のアクティブユーザー1200万人(全人口の約10分の1)へのリーチを目指し、1人あたり年間1000円のID価値からARR(年間経常収益)120億円の創出をマイルストーンとしています。現在、グローバル展開を見据えたシードラウンドの資金調達を進めております。リアル空間の顧客行動を可視化し、次の時代のインフラを共につくる投資家・事業パートナーの皆様からのご連絡をお待ちしております。ありがとうございました。
コメンテーター(伊藤氏):髙橋さん、ありがとうございました。Cookieに代わるオフラインの人流・行動データを、顔認証をフックに個人を特定せずに安全に名寄せ・可視化するというコンセプトは、非常に大きなマーケティングポテンシャルを感じます。
現在、イベントや避難所、コワーキングスペースなどで実証が進んでいるとのことですが、将来的にこれをどのようなビジネススケールへ繋げていくロードマップを描かれていますか?
髙橋氏:現在は受付の効率化やスタンプラリー的な用途など、中小規模のイベント管理をフックに導入を進めていますが、長期的には「都市全体・商圏全体の人流データプラットフォーム」を目指しています。
イベント会場で取得した「誰がどのブースに何分滞在したか」という興味データを、商業施設やテーマパーク、さらには公共交通機関へと繋げていきます。時間と空間を跨いだオフラインの行動履歴がシームレスに繋がることで、「このエリアに来る人はどのような消費行動パターンを持っているか」を可視化し、店舗への送客やスポンサー費用の最大化といった高付加価値なデータマーケティングビジネスへと昇華させていきます。
伊藤氏:なるほど。ただの入退室管理ではなく、人流データ基盤を狙っているのですね。
顔認証の精度やエンジン自体は、近年GoogleやAWSなどのAPIが普及してコモディティ化(一般化)していますが、競合他社に対してMeeeetUpが技術や規約、UXの面で持つ決定的な差別化ポイントはどこにありますか?
髙橋氏:おっしゃる通り、顔認証の認識エンジン自体での技術的差別化は難しくなっています。私たちの差別化は「共通IDプラットフォーム」としての構造設計と利用規約(ガバナンス)にあります。
既存のプレイヤーは、特定のマンションやジムの防犯(セキュリティ)用途でデータベースを閉じて構築するため、他の店舗へのデータ展開が規約的にも技術的にもできません。私たちは最初から「マーケティングおよび共通ID」としての利用を前提とし、顔データを復元不可能な暗号化ハッシュとして共通ID化し、異なる事業者間でも本人の許諾のもとで横断的なデータ連携ができる規約とUXを構築しています。この「共通IDネットワーク効果」こそが最大の防衛線です。
伊藤氏:ハードウェア不要でiPadだけで即座に開始できる手軽さも、中小店舗やイベント主催者にとって導入の決定打になりますね。人流プラットフォームとしての最初の「鶏と卵(面取り)」のスピード勝負、期待しております。
髙橋氏:ありがとうございます。リアル空間のインフラとなるべく、チーム一丸で突き進みます。