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📊 Event Report

【mizuhachi株式会社】磯焼けの「カラウニ」を高級ウニへ再生!独自開発の陸上養殖システムで水産市場50兆円のフロンティアを切り拓く

VENTURE PITCH ONLINE
2025/06/05
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磯焼けのウニを価値ある資源へ。北海道シャコタンで直面した海洋課題と起業の原点

皆さん、よろしくお願いいたします。mizuhachi(みずはち)株式会社代表取締役の高橋優人と申します。

私たちは、独自の陸上養殖テクノロジーを活用して、水産業の持続可能な未来を創るスタートアップです。

現在、日本だけでなく世界中で「水産市場の急成長と構造的な供給不足」という深刻な危機が起きています。人口増加に伴う世界的なタンパク質需要の急増に対し、天然の漁獲高は減少の一途をたどっています。従来の海面養殖も、赤潮や水温上昇、環境汚染などの自然環境リスクにさらされているため、世界的なトレンドとして「陸上養殖」へのシフトが急速に進んでいます。

しかし、従来の陸上養殖には「高コスト」「技術的困難」「低い収益性」という3つの大きな壁が立ちはだかっており、商業化レベルでの成功例はほぼ存在していません。初期の植物工場のように、採算を合わせることが極めて難しい状態でした。

そこで私たちは、初期戦略として「カラウニ」の陸上養殖というアプローチを開始しました。実は今、世界中の海で「磯焼け」と呼ばれる深刻な環境問題が発生しています。ウニの過剰な食害などによって藻場が消失し、魚たちの住処や餌場が失われて生態系が破壊されているのです。

これは私の地元である北海道の積丹(シャコタン)の海です。私自身が実際に海に潜って撮影した写真ですが、海中がウニだらけになり、海藻が完全に消え去ってしまっています。この磯焼け地帯にいるウニは、餌がないために身(生殖巣)が全く入っておらず、中身がスカスカの「カラウニ」です。漁師さんにとっては売り物にならない厄介者であり、むしろお金を払って駆除しているのが現状です。

私たちは、この厄介者であるカラウニを漁師さんから適正価格で買い取らせていただき、自社開発した画期的な陸上養殖システムで高品質なウニへと再生し、高級飲食店や海外市場へ販売する事業を展開しています。未利用資源を価値化し、海の環境を改善しながら収益を上げるという、循環型の新しいビジネスモデルです。

成長スピード15倍の配合飼料と、365日「旬」を保つ独自の水槽システム

私たちが他社と決定的に異なるのは、陸上養殖に必要なハードウェアからソフトウェア、飼料に至るまで、すべてのシステムを自社で独自開発している点です。私たちのコアテクノロジーは大きく2つあります。

1つ目は、独自開発の「配合飼料」です。通常、ウニの養殖には多くの時間とコストがかかりますが、私たちの開発した特殊な餌を用いることで、天然のウニに比べて可食部(身)の成長スピードを「15倍」にまで高めることに成功しました。

2つ目は、常に「旬」の環境を維持できる独自の「飼育水槽システム」です。ウニが最も好む水温や水質、環境ストレスのない状況を365日安定して保ち続けることができます。

この2つの技術を組み合わせることで、わずか約70日間の養殖期間で、可食部歩留まり「15%以上」の極めて高品質なウニを、年間を通じて安定的に生産・出荷することが可能になりました。「可食部歩留まり15%」とは、ウニ全体の重さ(100g)に対して、食べられる身が15g以上しっかり詰まっている状態を指します。市場で流通している最高級のウニと同等、あるいはそれ以上の高い品質を、季節を問わず再現できます。

すでに私たちは、ミシュラン星を獲得している高級店をはじめとするハイエンドな飲食店から、多数の予約販売枠を獲得しています。特許についても今年中に6件の出願を予定しており、技術的な障壁を強固に築いています。

ウニを足がかりに50兆円の水産市場へ。多魚種水平展開のプラットフォーム戦略

現在のウニ市場は、実質99.9%が天然物への依存で成り立っています。水産業の歴史を振り返ると、サーモンやマグロのように「養殖技術」が確立された瞬間、その市場規模は爆発的に拡大してきました。天然資源の減少によってウニの価格が高騰し続ける中、高品質なウニを年間を通して定価格・定品質で供給できる私たちの陸上養殖は、途方もない市場ポテンシャルを秘めています。

私たちの優位性は、配合飼料と水槽システムの両方を自社で一貫開発できる唯一のスタートアップであることです。また、海水を常に引き込んで流し続ける「掛け流し式」ではなく、限られた水を高度に濾過して循環させる「完全閉鎖循環式」のシステムを採用しています。

そのため、海のそばに巨大な施設を建てる必要がなく、街の中や大消費地のすぐ近く(都市型陸上養殖)で展開することができます。ロジスティクスコストや輸送時の鮮度劣化リスクを極限まで低減できるのも大きな強みです。

さらに、私たちのビジョンはウニの養殖だけに留まりません。私たちのチームには、長年大学で陸上養殖を専門に研究してきた一流の技術者たちが参画しています。すでにウニ以外にも「17魚種」に及ぶ陸上養殖のノウハウとプラットフォーム技術を保有しています。

まずは収益性と単価が極めて高いウニの養殖で確固たる事業基盤を築き、早期に黒字化を達成します。そこからサーモンや他の高級魚種へとプラットフォームを水平展開し、グローバルで50兆円規模にのぼる巨大な水産市場のトッププレイヤーを目指します。

現在、生産スケールアップのための実証試験を行っており、今年の冬には特定のパートナー店舗にて、私たちの手で育てた最高品質のウニを一般の消費者の皆様へ提供開始する予定です。日本発のテクノロジーで世界の食を支える私たちの挑戦に、ぜひ皆様のお力添えをお願いいたします。

質疑応答・フィードバック

コメンテーター(森氏):高橋さん、非常に熱意の伝わる素晴らしいピッチをありがとうございました。磯焼けによる環境破壊という社会課題の解決と、高級食料の効率的な生産を両立させるというモデルは非常にロジックが美しく、社会的価値も極めて高いと感じました。

いくつか質問させてください。まず1点目は収益性についてです。カラウニを安価に調達して陸上養殖し、ミシュラン店などの高級店に卸すビジネスにおいて、1サイクルあたりの生産コストや想定される利益率はどのくらい設計されているのでしょうか。

高橋氏:ご質問ありがとうございます。収益性に関しては、最初の生産モジュールが軌道に乗った段階で、営業利益率「20%以上」を十分に達成できる計算になっています。

具体的には、1モジュールあたり1回転「5万個」の生産キャパシティを持つ水槽システムを想定しています。私たちのシステムは70日間で1サイクル(1回転)が完了するため、年間で「5回転」させることが可能です。つまり、1モジュールだけで年間25万個の高品質ウニを安定生産し、高単価で出荷できるため、初期の設備投資を回収した後には非常に高い収益性を発揮します。

森氏:なるほど、年間5回転で25万個ですね。その5万個規模の養殖を行う場合、物理的な設備スペースや敷地面積はどの程度必要になるのでしょうか。また、街中で展開する場合の場所の確保についても教えてください。

高橋氏:正確な面積については現在STG環境での検証を進めている段階ですが、私たちの水槽システムは立体的な多段式構造を採用しており、限られた空間の利用効率を最大化する設計になっています。そのため、従来の掛け流し式の陸上養殖施設と比べると、驚くほど狭いスペースで省スペースに設置することが可能です。

さらに、完全循環式で排水処理の負荷も低いため、海沿いではなく「都市部の空き倉庫やビルの中」など、需要地に極めて近い場所で養殖を開始できます。これにより、流通コストを削減しつつ、最高の鮮度でお届けすることが可能になります。

森氏:都市部の空いたスペースを利用して多段式で育てることで、場所の制約をクリアするわけですね。

2点目の質問として、事業を拡大する上でのリスクについてです。一般的に陸上養殖では、水質の急変や病気の発生によって水槽内の魚介類が一夜にして全滅するリスクが懸念されます。この技術的リスクに対してはどのような対策を施していますか。また、調達面でのリスクもあれば教えてください。

高橋氏:おっしゃる通り、海水をそのまま引き込む従来の掛け流し式では、外部の赤潮や病原菌、水温変化がダイレクトに水槽に影響し、全滅を招くリスクが常にあります。

しかし、私たちのシステムは「人工海水を用いた完全閉鎖循環式」です。水槽内の水質パラメータをセンサーで常時監視し、高度な濾過フィルターによって無菌状態に近い環境を保ちながら循環させているため、病気の侵入や外的な環境変化による全滅リスクは理論上排除されています。これが自社開発システムの最大の強みです。

一方で、懸念されるリスクは「入り口の調達面」です。現在は天然のカラウニを漁師さんから譲っていただいて養殖していますが、異常気象などで漁師さんがウニを海から引き揚げられない日が続くと、調達が一時的にストップする可能性があります。これに対しては、調達先となる漁協や拠点を国内複数エリアに分散させてポートフォリオを組むことで、調達遅延リスクを最小限に抑える対策を進めています。

森氏:完全に水をコントロールすることで病気の全滅リスクを防ぎ、入り口の調達リスクに対しては調達先の多拠点分散でヘッジするわけですね。非常にクリアで、商業化への本気度が伝わってきました。今年の冬にミシュラン店で食べられるのを楽しみにしています。ありがとうございました。

高橋氏:ありがとうございます。皆様に美味しいウニをお届けできるよう、全力を尽くします。