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📊 Event Report

【ロボセンサー技研株式会社】0.5mmの超薄型センサーとAIで「手の感覚」をデジタル化。ものづくりのヒューマンエラーをゼロにする「触感インテリジェンス」

VENTURE PITCH ONLINE
2025/12/18
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最新鋭工場でも未だ残る「手作業の山」と、不可避なヒューマンエラーの課題

皆さん、はじめまして。ロボセンサー技研株式会社代表取締役の大村昌良と申します。本日はよろしくお願いいたします。

私たちは、今年5月にリリースしました「触感インテリジェンス」という製品シリーズを使い、産業現場におけるヒューマンエラーを極限まで削減し、作業工程の完全なデジタル化(DX)を実現する取り組みを行っております。

今から約100年前、ヘンリー・フォードが立ち上げたT型フォードの生産ラインによって、ベルトコンベア方式による製造が始まりました。それから100年が経過した現在、テスラ社の最新鋭ギガファクトリーであっても、実は製造現場の本質は変わっていません。依然としてベルトコンベアの横に人が立ち、1日中延々と手作業を繰り返す工程が数多く残されています。

私たちが特に注目しているのが、自動車に張り巡らされる約1000本もの配線(ワイヤーハーネス)の接続作業です。電線の入り口と出口には必ずコネクタがあり、それをエンジンやブレーキ、センサーなどに接続していくのですが、この接続作業はすべて人手で行われています。作業員は1日に8000〜1万回ものコネクタをはめ合わせる作業を繰り返します。これほど膨大な手作業の中では、疲労や集中力の低下により、コネクタが半嵌合(完全にはまっていない状態)のまま放置されるといったヒューマンエラーがどうしても避けられませんでした。

私たちは、この「手の感触」に依存する工程のヒューマンエラーを防ぎ、誰が・いつ・どのような作業を正しく行ったかをデータ化するために、独自の超薄型センサーを開発しました。

指先センサーで環境雑音をシャットアウト。1/1000秒で正しいはめ合わせをAI判定

私たちが提案する「触感インテリジェンス手袋」は、労働組合(UAWなど)の指示で作業員が必ず着用する手袋に、独自開発した厚さわずか0.5mmの超高感度センサーを取り付けるものです。

作業員がコネクタをはめ合わせた時の「押し込む圧力」と「パチンとはまった時の衝撃音(振動)」を、指先で直接検知します。

競合技術として、コネクタがはまった時の「カチン」という音をマイクで拾って判定する仕組みがありますが、マイクによる音響判定は、工場の風切り音や他の機械がガシャンガシャンと立てる環境騒音を拾ってしまい、誤判定が多発するという致命的な欠点がありました。私たちの指先センサーは環境雑音の影響を一切受けず、指先が捉えた物理的な圧力と振動の波形のみを抽出します。

取得したデータは無線でエッジAIへ送信され、1/1000秒という超高速で解析・判定されます。事前に登録された正しい嵌合波形と99%以上一致しているかどうかを瞬時に見極めるため、作業を一切止めることはありません。仮に半嵌合などのミスが発生した場合は、その場でパトライトの点灯やブザーによって作業員に警告し、次の工程に不良品が流れるのを即座に防止します。

さらに、このデータは製造工程のデジタル・トランスフォーメーション(DX)に大きく貢献します。これまでは、検査工程に来て初めてバーコードを読み取り「誰が作ったか」を記録する程度でしたが、私たちのシステムは1/1000秒単位で「どの作業を誰がどのように正しく完了させたか」をすべてログデータ化してお客様に提供できます。これまでブラックボックスだった人の作業を、完全にデジタル情報へと変換できるのです。

厚さ0.5mmという薄さは作業の邪魔にならず、現場の作業員からも「自分の作業が正しかったことをデータが証明してくれる」として、非常に喜ばれています。

国内8社中6社の自動車メーカーが導入。ヘルスケアやロボットハンドへの無限の応用

この技術のコアとなっているのは、2020年に私たちが開発に成功した、0.5mmの超薄型高感度センサーです。コロナ禍の厳しい時期やピボットを経て、このセンサーにAIによる波形判定システムを組み合わせたことで、製品としての実用性が飛躍的に向上し、お客様から「欲しい」と直接お声がけをいただくPMF(プロダクトマーケットフィット)を達成しました。

現在、日本の主要自動車メーカー8社のうち6社で、既に私たちのセンサーが導入・評価されています。さらに、米国デトロイトの自動車メーカーや、ドイツの最新工場からもお声がけをいただき、既に評価用デバイスの出荷を開始しています。

また、展示会を重ねる中で、私たちの「触覚をデジタル化する」という技術は、自動車産業に留まらない無限の可能性を秘めていることに気が付きました。
例えば、美容ウィッグの装着感の測定、食品製造における柔らかさの判定、さらにはロボットハンドへの触覚付与など、これまで「人間の職人芸的な手の感覚」に依存していたあらゆる産業への応用が進んでいます。

ライフサイエンスの領域でも、この手袋を応用して喉元にセンサーを貼ることで、血流による血管の伸縮データを心電図と完全にシンクロした状態で測定できることが判明し、現在大学病院の医師と共同で医療デバイスとしての開発プロジェクトも進めています。

ビジネスモデルとしては、世界に35万人存在する同様の作業員のうち、年間10%にあたる3万枚のセンサー手袋を供給するだけで、年間155億円の売上が立つ高収益な事業モデルを構築しています。

現在、グローバル展開を加速させるための事業資金の調達と同時に、5年後、10年後の未来に向けて私の技術と事業を引き継いでくれる「若い情熱を持った経営メンバー」や「ファイナンス専門家」との出会いを強く求めています。日本の卓越したものづくり技術をAIと融合し、世界へ広げていきましょう。ありがとうございました。

質疑応答・フィードバック

小川氏(コメンテーター):大村さん、プレゼンお疲れ様でした。大村さんとはもう5年以上前からメンタリングをさせていただき、様々な苦しい時期を見てきましたが、今回の「AI波形判定」を組み込んだことによる製品の進化、そして自動車メーカー各社への食い込みなど、見事なピボットを遂げられた姿を見られて本当に嬉しく思います。

以前はデータを可視化するだけだったセンサーが、AIを導入したことで顧客の反応にどのような変化がありましたか?

大村氏:ありがとうございます。以前は「こんなに綺麗に波形が測れます」とデータを見せるだけだったのですが、お客様からは「すごい技術だね、で、これを現場でどう判定すればいいの?」と言われ、導入に繋がりませんでした。

そこに「AIによる合否判定アルゴリズム」を組み込み、「1/1000秒で合格か不合格かをエッジで出し、ブザーを鳴らす」という出口までシステム化したことで、現場のライン責任者が「これこそが欲しかったものだ」と即座に理解してくれるようになり、引き合いが劇的に増えました。AIの波に乗れたことが大きな転換点となりました。

小川氏:なるほど。ただ波形を見せるだけでなく、現場が欲しい「判定の自動化」というソリューションとしてパッケージ化したことが成功の要因ですね。

今後の課題として、チームの世代交代とファイナンスの体制強化を挙げられていましたが、この点について投資家からどのようなフィードバックを受けることが多いですか?

大村氏:やはり「技術は素晴らしいが、メンバーの平均年齢が高く、今後の事業継続性やスケールに不安がある」と指摘されることが多々あります。「鶏が先か卵が先か」の話で、資金があれば若い優秀な人材を雇用できるのですが、投資家からはチームを見て投資を躊躇されるというジレンマがありました。

だからこそ、今回のファイナンスを機に、開発を牽引する若いエンジニアや、財務を専任で見てくれる心強いメンバーを迎え入れ、チームの若返りと資本政策の適正化を急ぎたいと考えています。

小川氏:自動車業界はEVシフトや激しいコスト競争の中で、ヒューマンエラーによるリコール損失を極限まで減らしたいという強烈なニーズがあります。大村さんの長年の技術が、AIと合わさってついに花開く時が来たと感じています。ファイナンスとチーム組成を応援しています。

大村氏:ありがとうございます。引き続き踏ん張ってまいります。