ブレイン・コンピュータ・インターフェース(BCI)の開発を行うスタートアップであるScience Corporationは、欧州の医療機器規制当局より、加齢黄斑変性による視力低下を回復させる医療デバイス「PRIMA」の販売承認を取得したと発表しました。本技術は、2024年に同社が買収したフランスの企業Pixiumによって開発されたものです。
「PRIMA」は、眼の奥の光感知細胞の機能を補助し、視力を回復させる医療用デバイスです。患者は1時間程度の外来手術で網膜に小型チップを埋め込み、カメラを搭載した専用の眼鏡を着用します。眼鏡から送信された映像がチップを通じて視覚情報として処理されます。臨床試験では、失明していた患者が長編小説の読書やクロスワードパズルを楽しめるレベルまで機能が回復した事例が報告されています。
同社CEOのマックス・ホダック氏はNeuralinkの共同設立者としても知られ、現在はシリコンチップと生体細胞を融合させたBCI技術の開発を目指しています。ホダック氏は、長期的なBCI技術開発を支える持続可能なビジネスとして「視力回復事業」の重要性を強調しています。なお、米国FDAからは希少疾患に対する迅速審査プロセスへの第一歩となる指定を受けています。
同社は、臨床試験の拠点となったドイツを皮切りにPRIMAの提供を開始する方針で、2026年9月にも最初の手術が行われる見込みです。今後は眼鏡のフォームファクタの改良や、より高度な視覚性能を実現する次世代チップの開発を進めます。また、イェール大学医学部との協力のもと、直接脳に埋め込む生体ハイブリッドセンサーの治験準備も並行して進めています。