皆さん、こんにちは。株式会社トコシエ代表取締役社長の渡辺龍徳と申します。本日はよろしくお願いいたします。
私たちは、「世界中の誰もがつくりたいものをつくりたいように作れる世界をつくる」というビジョンを掲げ、ものづくりの民主化に挑戦しているスタートアップです。
現在、製造業やプロダクト開発において、3Dプリンターの重要性は世界的に非常に高まっています。従来の工法と比較して、製品の90%軽量化を実現したり、1点から数千点の中小ロット生産に対応できたり、部品保管のためのデッドスペースを70%以上削減できたりと、試作の枠を超えて最終製品の製造に3Dプリンターを導入する企業が急速に増えています。
しかし、製品の企画から設計、試作、量産に至るプロセスには、依然として現場の重い課題が存在します。設計やプリンターの出力設定(スライス設定など)が属人化しており、ベテランと新人で作れるものの品質やノウハウが大きく異なること。そして、CAD(設計)、CAM(製造準備)、3Dプリンターがそれぞれ独立したソフトウェアで運用されており、プロセスが完全に断絶していることです。現状では、エンジニアがこれらを全て人力で繋いで調整しており、多大な手間がかかっています。さらに、3Dプリンターによる実際の製造現場においても、自動化が進んでおらず、人が張り付いて運用しなければならないという根本的な自動化の課題があります。
私たちは、これらの設計・試作・量産の課題を解決するために、ソフトウェアとハードウェアの両面からアプローチする、大きく2つのソリューションを提供しています。
1つ目が、「造形プロフェッショナルAI」です。これは従来のCADとCAMを中心としたソフトウェアを統合したSaaSシステムです。AIエージェントが設計から製造準備までの各プロセスを自動で連携し、対話型で3Dデータの最適な設計案や出力設定を提案します。これにより、3Dプリンターの専門知識がない初心者でも、今日からシームレスに設計から製造までを迷わずに行うことができるようになります。
2つ目が、このAIと直結した「オンライン3Dプリントサービス」です。設計した3Dデータをアップロードするだけで、私たちが独自開発した画期的なハードウェアを用いて、高精度な物理パーツとしてお手元にお届けします。
私たちが開発した3Dプリンターは、上が多軸(5軸)で動き、下の造形面がベルトコンベア構造になっています。従来の3Dプリンターは箱型で、1つ出力するたびに「人が手作業で剥がす」という作業が必要で、これが連続生産の大きなボトルネックでした。私たちのプリンターはベルトコンベアが回ることで、造形が完了した部品を自動で排出し、次の造形を全自動で開始します。これにより、長尺物の造形や、完全自動の連続生産・量産化が可能になりました。ハードからソフトまで全てをインハウスで自社開発している点が、私たちの最大の強みです。
私たちのビジネスモデルは非常にシンプルです。「造形プロフェッショナルAI」は月額課金のサブスクリプションモデルで提供し、「オンライン3Dプリントサービス」は造形に使用する素材と造形時間を掛け合わせたトランザクション課金となっています。
ターゲットとするのは、すでに3Dプリンターを導入している、または導入を検討しているすべてのものづくり企業です。日本の3Dプリンティング市場だけでも2,500億円規模がありますが、私たちはこの技術を手に、まずは1.5兆円規模を誇る米国の3Dプリンティング市場、そして急成長する米国のドローン市場や電動モビリティ市場へと積極的に進出していきます。
現在、このオンライン3Dプリントサービスはステルスで実証実験(POC)を重ねており、通常であれば設計から試作製造まで約7日間かかっていた工程を、わずか2日間に短縮するという圧倒的な実績が出ています。私たちのサービスは、従来の「切削」や「金型」を起こすよりも遥かに安くスピーディーであり、従来の3Dプリンターよりも安価に自動量産ができるという圧倒的な優位性を持っています。
現在は、私を含めた3名の精鋭メンバーでソフトウェア・ハードウェアのすべてを自社開発しています。東京大学工学部との共同研究や、大手筆記具メーカーの三菱鉛筆株式会社様との取引実績も重ねております。今年の1月にはラスベガスで開催された世界最大級のテクノロジー見本市「CES」に出展し、グローバル展開への手応えも得ました。
今回の登壇の目的は2点ございます。1点目はシードラウンドにおける3,000万〜5,000万円規模の資金調達であり、リードインベスターとなってくださるVCやエンジェル投資家の皆様との出会いです。2点目は、海外展開を共に進められる事業パートナーや、私たちのオンデマンド製造を活用したい製造業の皆様とのアライアンス構築です。ものづくりの常識を変え、製造業の未来をアップデートする私たちの挑戦に、ぜひお力をお貸しください。ありがとうございました。
鈴木氏(コメンテーター):ありがとうございました。非常に素晴らしいですね。すでに大学との共同研究や企業との取引、CES出展など、実績をしっかりと積み上げられている点が印象的でした。今後はこのプリンター自体の販売も行っていかれるのでしょうか?
渡辺氏:ご質問ありがとうございます。現状としては、この開発した3Dプリンターを単体で「機械として製造販売する」というビジネスは想定しておりません。あくまでオンデマンド型の「3Dプリントサービス(製造受託)」として提供します。お客様から3Dデータをオンラインでいただき、私たちのベルトコンベア型プリンター群で全自動で製造し、パーツとしてお届けするモデルになります。
鈴木氏:なるほど。機械を売るのではなく、製造サービス(アズ・ア・サービス)として提供するわけですね。その場合、競合他社と比較した際の最大の差別化や強みは、やはりベルトコンベアによる自動の量産性という部分になるのでしょうか?
渡辺氏:はい、完全におっしゃる通りです。従来の3Dプリンターは、造形が終わるたびに人が張り付いて土台から作品を剥がし、次の設定をしなければならず、数時間から数日かかる製造サイクルが人力で寸断されていました。私たちのベルトコンベア式プリンターは、造形が終わると自動でコンベアが動いて部品を排出し、次の造形へ移ります。この製造工程の「全自動化」こそが、他社には真似できない私たちの最大の強みです。
鈴木氏:なるほど。製造業においては、1個の試作なら3Dプリンターでいいけれど、数万個の量産になると金型を作った方が安いという境界線があると思います。御社はその中間の「金型を作るほどではないけれど、数百〜数千個の中小ロットの量産が欲しい」という隙間のニーズをターゲットにしているという理解で正しいですか?
渡辺氏:まさにその通りです。数個〜数十個であれば従来の3Dプリンターで対応できますが、数万個以上になれば金型を作った方が1個あたりの単価は下がります。しかし、その中間の「数百個から数千個」の領域には、これまで適した製造手段がありませんでした。そのため、企業は赤字覚悟で高い金型を作るか、あるいは3Dプリンターの前に人を張り付かせて力技で量産していました。私たちのソリューションは、この失われた「金型未満の中小量産」の領域を、人手をかけずに完全自動・低コストで埋めることができます。
鈴木氏:非常によく分かりました。ドローンやモビリティなど、多品種少量生産が進む先端ハードウェアの領域では非常に強力な武器になりそうですね。今後のグローバルでのご活躍を楽しみにしております。
渡辺氏:ありがとうございます。ものづくりの敷居を下げ、よりスピーディーなイノベーションを支援してまいります。