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📊 Event Report

【株式会社Zrek】機械が自ら考えて改善する自律工場の実現へ!画像認識と生成AIを組み合わせた自律ロボットの「脳」を作るロボティクスDX

VENTURE PITCH ONLINE
2025/08/21
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機械自らが考えて改善する。地球上で最も効率的な自律工場を目指すロードマップ

皆さん、よろしくお願いいたします。株式会社Zrek代表取締役の今村優希と申します。

私たちは、ロボットの「頭脳」を作る会社です。社名の「Zrek(ゼレック)」は、究極の終着点であるアルファベットの「Z」と、旅を意味する「TREK(トレック)」を掛け合わせたもので、渋谷に本社を、そして川崎市の研究開発施設「KBIC」に開発拠点を構えています。私自身、幼少期からプログラミングや宇宙に強い興味があり、大学では機械工学・航空宇宙工学を専攻しました。その後、学生起業などを経て、コロナ禍をきっかけにシミュレーションやAIの研究に没頭し、その技術を現実世界の課題解決に活かすためにこの会社を立ち上げました。

現在、日本を含めた世界中のものづくり現場で、深刻な人手不足と人口減少が進行しています。「人がいないからこそ事業拡大ができない」という、本来得られるはずだった売上や成長機会を逃してしまう機会損失(事業課題)が多くの製造企業で発生しています。

もちろん、日本には自動車産業などで活躍する非常に精密で優秀な「産業用ロボット」が昔から存在しています。しかし、それらは基本的に「あらかじめ決められた単純な動作を寸分違わず繰り返す」ためのものであり、人と安全に協調して作業したり、不規則な環境変化に自律的に対応して動くようなロボットは、未だ実用化が遅れています。

さらに致命的なのは、既存の産業用ロボットは個別の工場や作業ごとに膨大なプログラミング(システムインテグレーション)を必要とする点です。各工場で扱う製品や配置はすべて異なるため、一社ごとにSIerが入り込んで個別構築しなければならず、これに伴う時間やコミュニケーションコストは膨大で、事実上「多拠点への横展開が不可能」に近い状態でした。私たちは、このロボティクスの導入ハードルをソフトウェアとAIの力で根本から解消し、最終的には「機械が自ら考えて自らプロセスを改善していく、地球上で最も効率的な自律工場」を作ることを目指しています。

安価なハードウェアにAI脳を搭載。川崎市の実証モデルや化学分野での自律自動化実績

自律工場の設立という最終ゴールに向けて、私たちは現在、いくつかの明確な開発フェーズを踏んでいます。

最初のアプローチとして行っているのが、「一部の作業の自律自動化」です。私たちは高価な自社ハードウェアを開発するのではなく、既存のロボットメーカーから安価な共同ロボットアーム等を仕入れ、そこに自社で開発した画像認識や生成AIを掛け合わせた「AI頭脳モデル」を搭載して工場に提供しています。

精密板金加工における工作機械の自律自動化プロジェクトは、今年度の川崎市のモデル事業にも採択され、高い評価をいただいています。ものづくりの現場には、金属加工時に発生する「切粉(きりこ)」と呼ばれる鉄粉などのゴミがセンサーや機械に付着し、不良品が発生してしまうという現場特有の泥臭い問題があります。私たちはこうした物理的トラブルに対しても、ロボットアームが自律的に状況をカメラ画像で認識し、対処しながら作業を進められるようにソフトウェアで解決するアプローチをとっています。

また、化学製品の試作開発などの現場でも私たちの自律ロボットの検証が進んでいます。化学分野では、試薬をミリグラム単位で正確に「量り取る(秤量)」、液体を「かき混ぜる(撹拌)」、泡を抜く「脱泡」といった、人間の研究者の手作業に依存した単純な繰り返し作業が大量に発生します。これらの作業プロセスをロボットアームに代替させ、カメラ映像から人間のお手本動作を「模倣学習」させて自律的に作業をこなすデモンストレーションも成功しています。

このように、従来は多大なプログラミングコストがかかっていた領域を、AIに学習させることで短期間かつ低コストで自動化へと導く技術パッケージを確立しています。

プレイヤーでありながらインフラへ。ファミリービジネス大国・日本の知恵を活かしたグループ軍団戦略

私たちのビジネスモデルとロードマップは、単なる「ロボットの販売」や「受託開発」で終わるものではありません。

私たちは、安価なロボットにAIを搭載して工場へ導入し、現場のリアルなデータを収集してソフトウェアを常にアップデートするサイクルを回しています。この一部自動化の技術をパッケージ化して横展開しつつ、中長期的にはものづくり企業様のM&A(企業の合併・買収)やアライアンスを進め、自社グループで直接「自律工場」を設立・運用する計画です。

日本には、非常に高度なものづくりの知恵や職人技を持ちながらも、後継者不足や人手不足で存続が危ぶまれている中小のファミリービジネス(同族企業)が山のように存在します。私たちはこれらの企業をグループ化し、自社で開発した自律自動化ロボットを内製導入して、圧倒的に効率化されたファブレスな受託製造グループを構築します。つまり、自らが製造プレイヤーとして利益を生み出しながらロボットの有用性を自社工場で磨き上げ、最終的には完成された「自律工場システムそのもの」を他の製造業へ外販(販売)していくビジネスモデルです。

日本が持つ製造業の地理的優位性と歴史的知恵を、画像認識・生成AIという最先端ソフトで最大化する私たちの挑戦に、アライアンスパートナーや製造企業の皆様、ぜひお力添えをお願いいたします。ありがとうございました。

質疑応答・フィードバック

コメンテーター(森氏):今村さん、非常に夢があり楽しみな分野のプレゼンテーションをありがとうございました。ソフトウェアに特化してロボティクスの課題を解決するというアプローチは、非常に合理的だと思います。

質問ですが、今後のロボット市場において、どのようなハードウェアにAI頭脳を載せていく方針なのでしょうか。従来のファナックのようなガチガチの産業用ロボットに特化するのか、それともイーロン・マスクが提唱するテスラのヒューマノイドや、中国発の安価な人型ロボットのような、汎用的なロボットをターゲットにするのか、その辺りの将来的なポジショニングや世界観について教えてください。

今村氏:ご質問ありがとうございます。結論から申し上げますと、私たちは最終的に「特定の業務に特化した高い汎用性を持つロボット(業務特化型汎用AI)」を作りたいと考えています。

家事を完璧にこなすような完全な汎用人型ロボット(ヒューマノイド)は技術的にもコスト的にもまだ黎明期ですが、一方で「工場での一定の繰り返し作業や段取り替え」という業務ドメインに絞れば、今の生成AIや画像認識技術を組み合わせることで、実用的な汎用性を持たせることは十分に可能です。

なぜこれが必要かというと、従来の産業用ロボットは一つの作業を変更するだけでも、都度エンジニアが何十時間もかけてプログラミングを書き直す必要があり、これが多拠点展開の最大のボトルネック(不可能の壁)になっていたからです。私たちのAI頭脳を載せることで、現場の状況をカメラで見て自律判断し、プログラミングなしで作業を切り替えられる「業務の中での汎用性」を持たせたアームロボットを普及させていくのが私たちの立ち位置です。

森氏:なるほど、完全な何でも屋ではなく、工場の業務という境界線の中での汎用性をAIで担保するわけですね。

もう一点、ビジネスの発展形態として、スマートフォン業界のように「ハードウェアもソフトウェアもテスラのように自社で垂直統合するApple型」になるのか、それとも「ソフトウェアとアプリのプラットフォームに特化し、ハードは各メーカーから調達するAndroid型」になるのか、どちらのイメージに近いでしょうか。

今村氏:その点で言いますと、私たちのポジションはアメリカ型の「ソフトを軸に他国ハードを調達する」スタイルと、中国型の「安価なハードとソフトの調達力」の双方の利点を取りに行くイメージです。

アメリカはソフトは強いですがハードが弱く、中国は安いハードから入ってそれに合わせた互換ソフトを後から置いています。私たちは現在、ハードは安価な海外製ロボットを調達してファブレスでインテグレートしていますが、日本には長い歴史で培われた「ものづくりの工場と職人技の知恵」が圧倒的に蓄積されています。この場所のアセット(強み)を活かすため、私たちは一つの会社で自前ですべてを作るApple型ではなく、後継者不足の中小工場などをM&Aやアライアンスで「グループ化(軍団化)」し、共通のAIソフトを内製導入して自律製造プラットフォームを構築していく戦略です。プレイヤーとして自ら生産も請け負いながら共通パッケージの質を高め、最終的にAndroidのようにシステムを外販する、ハイブリッドな展開を狙っています。

森氏:日本のファミリービジネス大国としての文脈を活かし、グループ化してソフトを流し込んでいく。受託開発(SIer)のような動きからスタートしつつ、最終的に共通パッケージを外販・プラットフォーム化していくストーリーは非常に現実的かつポテンシャルが高いですね。今後の川崎市の実証や他業界への展開を楽しみにしています。